1月30日 ドラえもん短歌と月夜の航海
『ドラえもん短歌』を読んだ。ドラえもん達への語りかけ、祈り、願い、ツッコミ、決別。それぞれのスタンスからそれぞれのドラえもんが見える。
大人になった僕からドラえもんへ。
8時間寝たら体力全回復とか言う秘密の道具を貸して
多分のび太は標準装備してる。
☆ ☆ ☆
寝ても取り去れない疲れと付き合う時、大人は月を見る。月を見て、幻想に導かれて心を飛ばすのだ。
今夜は『詞花和歌集』の雑部から、月の歌を。
ゆく人も天の戸渡る心地して雲の波路に月を見るかな(二九七 平忠盛朝臣)
海面に映し出された天上世界を渡る、一艘の船を描き出す。
海上穏やか。船は星影瞬く航路を滑り、規則的な波に上下する。ふと目に入った月影は、天上の光か水面のそれか判然としない。はやここは、天上地上が渾然一体となった、幻想世界である。
海路を行く人がいる
海路を行くつもりだった。だがいつしか、船が行くのが海路なのか天路なのか
分からなくなっている
船を揺らす波は、あるいは雲なのか
判然としないそれに映った月の光が目に入る
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