詩 夜を言葉と歩く
眠れないんじゃなくて眠りたくないの
両親も妹も寝てしまった夜
静かで
聞こえるのは冷蔵庫の稼働音と
時計の針
泣きたくなる
なにに?
わからない
ただ、こうやって思いついたことを
ゆっくりと電子の文字にすれば
なにかがわかる気がした
でもやっぱりわかんないや
いつも言葉を紡ぐときは
ひとつひとつ丁寧に
文字を並べる
何度も消して
何度も打って
でも今日は
なんとなく
文字を消したくない気分
何も考えずに
思いついたままの言葉を
そのまま打っていく
振り返らずに
デリートしずに
ひたすらに改行を重ねて
戻れない道を歩くみたいに
まるで人生みたい
なんて気取ったことを打っても
消しもしないで
さっき自分がなにを書いたかさえ
思い出せない記憶
でも
少し
楽しい気がした
もしかしたらいつもは
言葉を
削っては足して
磨いては壊して
殺して
詰め込んでただけなのかな
琥珀に閉じ込められた
蝶は美しいけれど
今
耳元を掠めた風も
美しいのだ
自分とともに歩いてくれる文章は
生きているのだ
まあ
これは
物語にもならないし
詩にも満たない
ただの書きなぐり
きっと
いつか
眠れないが
眠たいに変わるまでの
道のり
ゆるやかな
ゆるやかな
自分で口ずさむ
夜守詩
あ
眠く
なって
きた
そろそろ
終わる?
……
そうだね
寝ようか
楽しかったよ
おやすみ
おわり
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