舞台『D.C.III~ダ・カーポIII~君と旅する時の魔法』その8 配信編
2021年11月17日から21日、新橋のニッショーホールで行われた舞台『D.C.III~ダ・カーポIII~君と旅する時の魔法』は全9ステージ。ゲネプロも入れたら全10ステージだ。
僕はそのうちの初日のソワレ(初回)と二日目のマチネ公演だけ観て、地元に戻ることとなった。
二日目の11月18日なんて、2011年11月18日に秋葉原UDXシアタで行われた「サクラサク『D.C.III~ダ・カーポIII~』制作発表会」からちょうど10年の記念日だったわけだ。
そんなタイミングでD.C.IIIの舞台を上演できることに感謝しつつ、僕は新橋を後にした。
今回の公演は配信もあるということで、最終日、千秋楽のマチネ(8ステ目)とソワレ(大楽、9ステ目)がミクチャさんで生配信されることが決まっていた(アーカイヴ配信もあり)ので、最終日まではSNSに流れてくる皆さんの感想だけが頼りだった。
もちろん、「地方で配信を生で観る」というインターネット時代ならではのこともリアルタイムで体験してみたかったので、それはそれで楽しみだったわけだけど。
正直な話をすれば、芝居はナマ物であるわけだから、可能であれば全ステ生で観劇したかった。
でもまあ、そんなこと言ったらキリがない。キリがないけど、やはりステージ毎に違うネタを書いた「日替わりネタ」は気になった(正確には、9ステージ分のネタを書いたので「日替わり」ではないのだが、便宜上「日替わりネタ」とさせてもらう)。
全ステージ分のネタを書いた(ちなみに、ゲネプロも含めると全10ステと言ったが、ゲネプロの日替わりネタは大楽と同じ「姫乃回」だったとのこと)とはいえ、アドリブの余地を残してあったのでね。
聞けば、大分ハジけた回が幾つかあったという話だしw
でも、いくら観たいと思っていても物理的に不可能なものは不可能だ。なので僕は僕で、SNSで舞台の宣伝をしたり感想を見たりしつつ、普通に通常業務をこなしていた。
もちろん、皆の感想は楽しいし、嬉しい。
中には俳優さんの追っかけで何気なく1ステ観ただけの方が、結局、全通してくれたりもしたみたいで、そういうのがリアルに伝わってくるSNS時代というのは尊いな、とも思えた。
で、やってきた日曜日。11月21日、千秋楽。
楽日のマチネ回は、スマートフォンで繋ぎつつ、FireTVでも視聴可能かどうか、ログインしたりしていたので、僕が出たり入ったりしていたのが気になった方もいるかもしれない。
そして、大千秋楽の時間に。
自宅のテレビに接続したFireTVのブラウザでログインし、家族と一緒に居間で自分が書いた脚本の舞台を鑑賞する、というかつてない体験をすることに。ん~、未来だ!
生配信があると、リアルタイムの実況がSNS上に流れる。
そういう意味では終演後にワッと盛り上がるこれまでの日とはまた違った感覚でネット上も面白かった。
舞台を生で観た上で生配信も観てくれている人、遠隔地のため現地参戦できない人、中には海外の方まで視聴してくれているようで、舞台配信というものの可能性も大いに感じることができた。
大千秋楽は、カーテンコールも豪華で全キャストのコメントありだったし、テレビ画面で観るサクラハッピーイノベーションのダンス、それからダブルアンコールまで。なかなか、充実した時間を過ごすことができた。
こうして舞台D.C.IIIの公演は全日程、無事に終了した。現場は興奮冷めやらぬ、と言った感じだろうか?
あの場にいないことを惜しみつつも、リアルタイムで配信を体験することができた、というのはいい経験だったかもしれない。
一応、総括的なものは入れておいた方がいいのだろうか?
演出の市村さんと劇団飛行船の方々には感謝しかない。
アニメ化されたこともあるとはいえ、美少女ゲームに明るい人はそんなにいなかったと思うので、よくここまで作品世界の実現に尽力してくれたと。
演出の数々、用意してくれた小道具の数々、本当にD.C.IIIがこの世に具現化した感じがして素晴らしかった。
主演の新田恵海さんをはじめとする出演者の皆さんもすばらしかった。
一人一人についてここであれこれ感想を述べることもできなくはないが、長くなりそうなので自粛。
あの期間であのクオリティを出してくれたことに本当に感謝。本当に全国の人に見せて回りたい。
各々に関してはTwitterで散々語った気もするので、探してみて欲しい(「いやいや、ここでも書けよ!」って話なら頑張りますが)。
生配信終了の翌日からはアーカイヴ配信が公開され、11月28日(日)いっぱいまで、最終日のマチネとソワレが閲覧可能に。
好きな時に好きなだけ、公演を見返せる、というのも良い体験だった。
美琴役の黒木さんが出演する『音楽劇ヨルハVer1.2』がPrimeビデオで観放題になっているが、今後、舞台のサブスク化は必要だな、と感じざるを得なかった。
もちろん生で観る舞台は素晴らしいものだ。でも、やはり舞台というのは都市部と地方では温度差というものがやはりある。間口を広げるためには、このような配信は必要だと感じた。コロナ禍の時代なら猶更だ。
もちろん、今回、生配信および、アーカイヴ配信でのみ舞台D.C.IIIを楽しんだ、という方も、いつかは生でお芝居を観て欲しいと強く思う。
僕が舞台にハマっていた90年代にもコミック原作の舞台やミュージカルが無かったわけではないし、まんが的アニメ的手法を舞台に取り込んだ劇団がなかったわけではない。
が、2.5次元と呼ばれる作品が一気に世間に浸透し、ここまでいろんな作品が舞台化されるようになり、多くの人が気軽に舞台を観に行くようになったってことは、戸惑うこともある反面、90年代の演劇人が夢見ていたことでもあるような気がする。
事実、多くの2.5次元の演出・脚本を当時の方々が手掛けているようだし。
COVID-19の拡大のせいで演劇に限らず多くのショービジネスやライヴエンターテインメントが打撃を受けた。
そういう意味では、このタイミングで自分が携わったゲームの舞台化のお仕事が舞い込んできたことはある意味、奇跡だ。すこしは演劇の世界に恩返しできただろうか?
再演はいつでも大歓迎だし、続編的なものをやるなら是非また挑戦したい。
翌年4月に上映会が行われることなんて露知らず、そんな風に思ったものだ。
こうして半年以上にわたって、僕の心臓をバクバクさせてくれた舞台『D.C.III~ダ・カーポIII~君と旅する時の魔法』のアーカイヴ配信も含めた全日程が終了した。
関わった方、観に来てくれた方、配信を観た方、すべてに感謝である。
舞台の余韻はすさまじく、年が明けてもしばらくその余韻の中で暮らしていたような気がする。
「ロス」というより、「余韻」だ。まあ、それだけ全力を出し尽くした、ということだろう。
出演者の方々も、配信やSNSなどでいろいろ語ってくれたので、それも楽しかったと記憶している。
却説。
時系列で感じたことを記してきたこのnoteも、そろそろ終わりに近づいてきた。
でも、まだ上映会編がある。上映会は上映会で、出し物があったので、語るべきことはいくらかあると思う。
期待せずに、待ってやって欲しい。
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