見出し画像

頭から離れないコント作品

今まで色んなコントを観てきたけど、どうしても頭に残るコントって意外と少ない。

そんな中、ダウンタウンの松本人志さんのビジュアルバムに入ってる『古賀』って作品は未だに頭にこびりついてる。

最近YouTubeでかもめんたるのう大さんがビジュアルバムについて(松本人志さんのお笑いについて)話しているのを聞いて、なんとなく書きたくなったので書いてみる。

作品について

この『古賀』に出演しているのは、
・松本人志
・今田耕司
・東野幸治
・板尾創路
の4人。

設定は大学生くらいかな。
4人でスカイダイビングにやってきて、その飛行機内から作品が始まる。

松本・今田・東野の3人はお調子者で、若々しいノリ。
松本はなんとなくリーダー格の中心人物
今田はグループ内ではいじられ役に近い立ち回りだが、立場は対等
東野はガサツで少し乱暴者。冗談の小突きがちょっと嫌な痛み出してくる感じ。
そして板尾はそれを見て少しニヤついている立ち位置。

今上空500mか〜お前なら飛べるんちゃうか?
俺らは無理やけど
パラシュートもう出しといたるわ

等々、今田をいじり、今田はまた面白い反応をして盛り上がる。

それを板尾は見ている。

この空気感が妙にリアル。
割と僕は板尾寄りだったかもしれない。
ただただ悪ふざけしている学生と、グループに馴染みきれてない(?)学生を描写しているだけで、観客を笑わせようというボケやツッコミは無く、正直ちょっと辛くなってくる。
カメラが板尾に寄って表情を抜くんだけど、その時の板尾の何とも言えない表情が、この時には可哀想に映る。

いよいよ飛ぶぞ、となった時、誰が最初にダイブするか?でまたガヤガヤする(「最初は嫌や!」とか)が
板尾は

俺最初に飛ぶよ

と言い出す。

ほなジャンケンしよか!

となっても、

いや俺1番でええから2番以降決めてくれたらええよ

と板尾。
ジャンケンで2番以降を決めるが、どこか3人は盛り下がっている印象。
でもスカイダイビングという非日常でテンションは高いままで、

ほら空中で手繋ぐやつあれやろ!
いやいや無理やろ!
いや、いっぺん近づいてみよ。試してみよ。

等々3人が盛り上がる中、板尾はいつでも飛べるような体勢。

ただ、

え、集まるん?やる?やらん?

と、本当にやるんかやらんのかをしっかり確かめる板尾。

やる、と決めたところで

ほな行くわ

と迷わず飛び降りる板尾。
慌ててそれに続く3人…

暗転後、シーンは民家の前。

3人がパラシュートを手元にまとめ、スカイダイビングの時の服装のまま暗い空気が漂う。
3人の会話を聞くと、どうやら板尾がいなくなったらしい。
必死に探したが見つからず、途方に暮れてとりあえず板尾家の前まで来たということがわかる。

飛行機内での馬鹿騒ぎのテンションからの落差がまたリアルさを出していて、
お互いが少し責めるように喧嘩になりかけるところもまたリアル。

意を決して板尾家のインターホンを押すと、出てきたのは部屋着を来た板尾本人。

…え?

と困惑する3人に対し

え、なに?

と真顔の板尾。

めちゃめちゃ探したんだぞ、と板尾に言っても、

え、なんで?

と理解できない板尾。

スカイダイビングのあと集まろなんて聞いてないし

と怒るでもなく、ただ淡々と話す板尾に困惑する3人。

この辺で我慢できずにメンバーがちょっと笑ってしまうんだけど、板尾は真顔のままなのがまた異質さ醸し出してて怖い。

家の中からおかんに「あんた飯食べてる最中ってわかっとる?」と呼ばれ家の中に戻る板尾と、取り残される3人

え、今どういう状況?

と困る3人。
え、飯食ってるん?これで終わりじゃないよな?たまたまおかんに呼ばれて戻っただけだよな?と自分達に言い聞かせ、もう一度インターホンを押すと、口にトマトソース?をつけた板尾が不機嫌そうに出てくる。

いや飯食ってるんやったらええけど、このあとカフェでも行って茶でも飲まん?

と板尾を3人が誘うが

あー…まあ、ええわ

と答え、電話に呼ばれて家に戻る板尾。

3人はよくわからない感情になりながら帰り、最後は板尾が電話で

え?スキューバ?おぉ行く行く!俺スキューバ行くよ

とテンション高く話しているところでコントが終わる。

感想

セリフの細かいところまでは流石に覚えてないけど、大体こんな感じの話。

こんなやつおらんやろ、というキャラを板尾さんが演じているが、絶妙にいそうなんだよな。
大げさなフリとかがあるわけでもなく、淡々とリアルな描写が続くのにジワジワと異質さが出てくる面白さ。

細かいけど、飛行機内で板尾がみんなで手繋ぐやつやるかどうかをきちんと確認したがったのもある意味伏線。
スカイダイビングやろう→やる。
手繋ごう→やるならやる。
それ以外は聞いてないから、スカイダイビング終わったら帰る。
っていう物凄いシンプルなルールに則って板尾は動いてるだけなんだけど、それが普通じゃない。

間違ってるけど間違ってないこと言ってるから3人も何も言えない。
必死に探したことも、板尾からすれば なんで? としかならないのが目に見えてるから怒ることもできない。

コント作品作ろうってなってこれ書くセンスがやばいよなあ。

ここまでコント作品って書いてきたけど、これはコントっていう枠にはめた映像作品なんだよなとも思う。

飛行機内で板尾さんの顔を何度も抜いたり、全体を映してるシーンよりもそれぞれの表情とかを抜いてるシーンが多くて、最新からカメラを意識した作りになってる。

舞台でやってるコントを映像化しました、ではなくて最初から映像で観てもらうことを前提にしてるんだよね。

一方で、メンバーが笑ってしまうところをそのまま使ってるところら辺からは、テレビ的な要素も見える。

テレビでは表現しづらい松本さんがやりたいことをやってるのがビジュアルバムなんだろうなーと。


まあ好き嫌いはあるんでしょうけど、僕はあの空気感大好物です。

松本人志を天才だ、と神格化するような人ほどのめり込んでは無いけど、この『古賀』は今でも頭から離れない強烈なインパクトを残したのは事実です。

まだ観たことない人は、機会があれば観てみてほしいですね。

サポートいただいたらもう嬉しすぎますが、サポートよりも良いなと思った記事があればシェアしてもらえると嬉しいです😂