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フリーランスの方、まだ大丈夫!インボイス制度と区分記載請求書等保存方式の違いとは

 フリーランスのみなさん、今年10月にインボイスのルールが変わります!ただし、表示形式だけ…。

 請求書を英語で言うとインボイス。2023年に導入される「インボイス制度」と混同されがちですが、別です。ご安心を。

■ご安心ください。請求書の書き方(保存方式)が変わるだけです

 まずは、今秋導入される新ルールについて説明します。
 消費増税および軽減税率導入に伴って、請求書は税率ごとに区分記載をしましょうね、と。ただそれだけです。フリーランスのみなさん、まだビビる必要はありません。このルールを「区分記載請求書等保存方式」といいます。

参考:国税庁「区分記載請求書等保存方式の概要」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0017007-067_08.pdf

 10月から消費税は「10%」に増税されるだけでなく、飲食料品や新聞等に限り、軽減税率として「8%」が維持されます。(ちなみに、日本で複数税率が並行して走るのは初めてのことです)

 巷では、この「区分記載請求書等保存方式」が導入されることによって、納税額が増えるらしい!大変だ!というデマが流れているようです。私もフリーランスの知人から質問を受けました。誤った情報が出回っているのは、冒頭に述べた「インボイス制度」と混同されているせいです。導入は2023年。まだ先の話でありまして……。

■インボイス制度とは結局何なのか?

「インボイス制度」とは、2023年10月に導入される制度で、これまで消費税の納税を免除されていた事業者の多くが納税対象となります。正式には「適格請求書等保存方式」といい、打撃を受ける事業者は多いことと想定されます。フリーランスのみなさん、正しく2023年をビビりましょう。今秋に導入されるのは「適格請求書等保存方式」ではなく、「区分記載請求書等保存方式」だけです。と書くと、なんだか似ていて余計にややこしいのが難儀なところ…。

参考:国税庁「消費税の仕入税額控除の方式として適格請求書等保存方式が導入されます」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/300416.pdf

■そもそも消費税って?
 消費税は間接税のひとつで、各事業者が消費者から預かった税を国に納めています。計算の仕方は、基本的に「仮受消費税ー仮払消費税」(課税売上割合など実際には細かな計算があります)となります。

 フリーランスの方々も、請求書に消費税を記載し、受け取っていることと思います。
 でもこれ、納税していますか?

 ……していない方も多いと思います。これはルール上、特定の条件を満たせばOKということに、今はなっています。こういった事業者を「免税事業者」といいます。つまり消費者によって支払われた消費税が、めぐりめぐって、フリーランスの事業者の懐に入っているということです。懐に入るお金は、所得税や住民税などとして一部納税となるものの、大部分が免税事業者の利益になっています。これは「益税」と呼ばれ、たびたび議論が起こってきたイシューです。

参考:コトバンク「益税とは」
https://kotobank.jp/word/%E7%9B%8A%E7%A8%8E-154960

 それを理解した上でなお免税事業者でいたいという方、ご安心ください。登録は義務ではないため、登録せず免税事業者として事業を営むことはできます。ただし、消費税分の負担を被るのが消費者ではなく、仕入税額控除に制限を受ける発注者になるのです。これを、発注者がどう受け止めるのか……。

■4年以上あります!的確な情報収集を
 なお、課税売上高が1000万円を超える事業者は免税対象となりません(ただし2年後から納税義務が発生)。
 儲かっているフリーランスの方は、注意が必要です。

参考:国税庁「納税義務の免除」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6501.htm

 おさらいです。
 今秋に導入される「区分記載請求書等保存方式」は、請求書の書き方が変わる制度、2023年に導入される「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」は、実質的に免税事業者の「免除」が終わるとも言える制度です。
 まずは請求書の書き方を押さえつつ、4年後に向けて正しい情報を収集し、事業の方針をじっくり検討してみては。

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