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広葉樹が葉を落とす季節

秋になると木々が葉を落とし始めて、どうしても物寂しい気持ちが湧いてくる。
広葉樹の葉が風に舞って地面に散っていく様子を見ると、特にその感情が強まる。

それは、僕が登山を通じて季節の移ろいを直接肌で感じているからかもしれない。
桜や栗、くぬぎなどの広葉樹は、秋が来るたびに葉を落とし、枝だけの姿に変わる。
裸になった広葉樹を眺めると、冬の静けさがすぐそこに迫っているように感じる。

一方で、松や桧のような針葉樹は年中緑を保つが、それでも3年に一度くらいの周期で葉を少しずつ落としている。
この違いがなんとも不思議だ。

広葉樹の葉は、夏の間にたっぷりと光を浴び、水を吸収して栄養を蓄えている。
しかし、冬が近づくと蓄えた水が逆に危険になる。
寒さで水が凍りつくと、細胞が壊れてしまい、葉や枝がダメージを受ける。
だから、広葉樹は秋のうちに葉を落とし、自分を守るのだ。

登山をしていると、これがよく分かる。
冬山では凍傷のリスクが常にあり、体が冷えることで細胞が壊れ、壊死してしまう。
木々も同じように、凍結を防ぐために葉を落としているんだろうな。
針葉樹が葉を落とすのは、まるで木が、「もうすぐ冬だよ」と告げているようだ。

針葉樹はまた違っていて、葉が小さく、水分をあまり蓄えない。
そのため、寒さに強く、年中光合成を続けている。
針葉樹の葉は小さいが、凍結のリスクが少ないおかげで葉を落とさずにいられるのだ。
木々にとって、葉を落とすのは次の季節を迎えるための準備なんだなと改めて感じる。
自然のサイクルって、本当に巧妙にできている。

そう頭では理解していても、秋に広葉樹が葉を落とす光景はやはりどこか寂しい。
四季折々の自然も好きだけど、緑が絶えない場所で、静かで穏やかな時間を過ごすのも悪くないと思うことがある。
もし移住するなら、一年中緑が絶えない亜熱帯の地がいいなと夢見てしまう。

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