小さなこどもは、ゲームやYoutubeとどう付き合えばよいか
こどもに、スマホやタブレット、ゲームの類をどの程度さわらせていいのか。なかなか悩ましい問題で、こどもの年齢によっても解決すべき課題や考えるべき事が変わってきます。ビデオゲーム開発をしている立場でもあるので、自分が採った考え方を書いてみます。
この種の話題を検索して、それなりに妥当そうなページを読むと、結局は「それぞれのご家庭でポリシーをよく考えてルールを決めましょう」といった話に着地します。それはもちろんその通り、大前提として、ここに書くのはあくまで私の主観です。
端的に言うと、基本的には肯定派です。
(1) ビデオゲームはおもしろい。Youtubeもおもしろい。
ビデオゲームって、やっぱりおもしろいんです。ゲーミフィケーションという単語が流行った時もありましたが、プレイヤーを熱中させてのめり込ませるためのノウハウ、手練手管の塊なのです。
また、Youtubeで関連動画を興味の赴くままにクリックして観続けるのもこれまた楽しいんです。
問題は、おもしろすぎる、楽しすぎるってとこです。簡単に時間泥棒になりますし、心を奪われます。
映像と音声とインタラクティブ性を高度に組み合わせた娯楽は、本当に強力です。作り手は、キャラクターの動きのひとつひとつに心を砕いて、ただ動かしているだけでも気持ちいいレベルに高めます。いわゆるアイテム課金ゲームでは、成長要素・競争要素・表現の気持ちよさを組み合わせ、所有欲を刺激して、大人でもついつい課金してしまうような仕組みを作り上げる訳です。こどもにとってどれだけ魅惑的なものかは、容易に想像ができます。
(2) ゲームやYoutube以外にも、身近に豊かな世界はたくさん広がっている。こどもにはその豊かさを知ってほしい。
ビデオゲームやYoutubeでの楽しみはどんなに楽しくても所詮は人が作り出したものという域を超えません。また、他者や自然と触れ合う時の摩擦やストレスもありません。
これらの楽しみに浸かりすぎると、例えば自然の中にある、こどもだから発見できるようなおもしろさに対する感受性を鈍らせたり、他者との接触で味わう喜びやマイナスの感情に触れる機会を失ったり、といった事が起こりうると思います。
つまりは、すごくおもしろく、同時におもしろいが故のリスクもある、諸刃の剣だと捉えています。
(3) こどもに望ましくないコンテンツは確実にあって、簡単にアクセスできる。
こどもに触れさせたくないコンテンツというものは確かに存在します。(そういうコンテンツが許される事が、エンターテインメントの豊かさでもあります。その存在自体は悪い事でありませんし、業界人として表現の自由度は守っていかねばならないと思っています。)
ただ、今のスマホやインターネットは、こどもに望ましくないコンテンツへの入り口が、油断すると簡単にこどもの目の前に広げられてしまう環境にあり、注意が必要ですね。
(4) 完全に抑圧する事は無理。
リスクがあるから禁止すればいいかというと、そういう訳にもいかなくて。
今の時代、完全に禁止するのも難しく、いくら我が家で禁止してようと、友達の家とかどこかしらで触れる事は避けられません。またある程度の年齢になると、友達との話題がゲームやYoutubeになったりしてきます。
その時に、欲求を過度に抑圧したり、友達付き合いの支障になったりするよりは、適切な付き合い方を覚えた方が前向きで現実的だろうと思います。
(5) 一応、プラスの側面もある。
ゲームを遊ぶといっても、それなりに頭を使ったり集中力を必要とするものも多いです。また、こどもの個性によっては、外国語とか、プログラミングとか、教育に結びつく入り口になることもあります。
ということで、
年齢に合わせた適切なケアをした上でデジタルデバイスに触れさせてOKだし、チャンスがあればこどもの可能性を引き出せたりするとラッキー。
というのが、私の考え方です。