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「責任」を明確にしたことで、組織がうまく機能した話

「チームで仕事をするうえで、"責任"の所在を明らかにすることがいかに大事か」ここ最近の仕事を通じて自分なりに感じているテーマだ。

えらそうに組織論を語れるほどの人間でも無いのだけれど、日々クライアントと向き合う僕の仕事は、いうなれば一つの組織と向き合っているともいえる。つまり、考えざるを得ない状況に置かれている。

オウンドメディアマーケティングのパートナーとして、「どのような戦略を立て、実行すれば、成果を最大化できるのか?」ということを考えるが、その問いは同時に「どのような組織を作ればよいか?」ともいえるように思う。

そんな中で、冒頭の一文について考えるようになった。「責任」という言葉をどう解釈すべきか正解はわからないけれど、少なくとも「その人が果たすべきもの、事柄」だと考えれば、組織を動かすうえで重要なテーマだ。

「責任の範囲」が不明確な組織は弱い

1つの成果に対して、複数人で組まれたチームがあったとする。それぞれは自分たちの得意領域をもったプロフェッショナルだ。

ただ、そんなプロフェッショナル集団でも、うまく機能しなかったケースを目の当たりにした。

たしかに、全員で追うべき成果の認識はズレてなかったし、だれが何をやればよいかも共有できている。なのに、成果としては得られなかった。むしろ、いま、だれがなにをやっているかもきちんと把握できていない状況ですらある。

原因は、見出しのとおりでないかと思っている。一人ひとりの役割はあっても、果たすべき「責任」が明確でなかったのだ。

責任が明確でないと、どうなるか。

・成果に対する進捗度合いが測れなくなる
・各人が自分のタスクの優先度を勝手に判断してしまう
・目の前の仕事に一生懸命になれなくなる
・都度「確認」作業が発生し、スピードが鈍くなる

これがすべてではないが、実際に起こった事象である。結局、だれがいまなにをやっていて、成果がでているのかどうなのかも分からない。かんたんにいえば、プロジェクトとしては失敗しているのだ。

なかでも確認作業が増えることは、想像以上に組織のスピードを鈍らせる。なにか新しい施策を始めるとき、分析結果から複数のことがいえるとき、デザイナーが成果物を納品したとき。なにかしらの判断が必要な場面は多々あるが、責任が不明確なだけで、その判断が恐ろしいくらい遅れてしまう。

「Aさんはこの数字に責任をもつ」「Bさんはクオリティに責任をもつ」とハッキリ決め、全員がその認識で仕事ができていれば、AさんがOKというかどうか、Bさんが良いというかどうか、ただそれだけである。結局だれがそこに責任を持つのかがあるか無いかで、スピードが大きく変わってしまう。

さらにタチがわるいのは、「スキルや経験があるゆえに、判断できてしまう」場面である。本来はその責任範囲外にも関わらず、分かってしまうがゆえに意見してしまうと、さも正しいように思えてしまう。そして判断が鈍る、遅くなる。これでは進むものも進まない。

チームで仕事をする以上、必ず責任をもつ人をひとり、明確に定めるべきだ。

KPIと同時に「責任範囲」を定めたことで、組織がうまく機能した

これは実際に僕が担当していたプロジェクトのことである。約半年という期間で与えられたミッションは、クライアント社内のだれもが無理だと思っていた数値目標の達成であった。

もちろん、プロジェクト参画時の自分も、「どうやってこんな数字を達成すればよいのか・・・?」と、正直思っていた。しかし、半年後には無事達成してみせた。

このプロジェクトを振り返ったときに、成功要因はまさに組織が機能したことだと思っている。つまり、追うべき数値目標に対し、各人の責任の所在を決めていったのだ。

このときのチームは、クライアント、パートナーで構成され、外部パートナーとして僕がコンサルティングをおこなっていた。それぞれがそれぞれの領域のプロである。このチームで数値目標を達成させることが僕のミッションだ。

はじめに行なったことはプロジェクトのゴール達成に向けた戦略の設計だが、設計段階でかなり高いハードルであることがわかっていた。無茶といえば無茶な目標だったかもしれない。しかし、これを達成せねばならない。

そこで、最終的な数値目標(KGI)を分解し、まずはこれを達成させようという細かな指標(KPI)を設計していった。どのようなケースでもそうだが、ヒトや時間、お金といったリソースは限られている。短期決戦ならなおさら、どこにリソースを割くべきかを明確に定めることが、戦略上大切である。

そして、「まずは、このKPIの達成だけを考えましょう」と伝えた。さらに、「このチームはこのKPIを、このチームはこっちのKPIを追いましょう」と役割を分けた。各チームに対し、「このKPIを達成する」という責任を与えたのだ。

各チームの責任範囲が明確になったことで、やるべきことが明確になった。定例ミーティングの報告も、KPI達成に向けた現状、課題、ネクストアクションのみとシンプルだ。

月日を重ねるごとに各チームの各数値がぐんぐんと伸びていき、市場のトレンドもあいまって数値目標は期限ぎりぎりで達成、プロジェクトとしては大きな成果をあげることができた。

実際には、はじめからキレイに組織が回っていたわけではない。あらゆる施策の実行と検証を繰り返し、その中で追うべき指標(KPI)が見えるようになってきたのだ。だからこそ、各人の責任範囲を決めることができたし、組織として機能したように思う。

このプロジェクトの成功要因に「組織が機能したこと」と挙げるもうひとつの理由に、プロジェクト終了後の担当者の昇格がある。僕とやりとりをしていた担当者が、このプロジェクトを通じて役職を一つ上げたのである。実をいうとプロジェクト開始時に担当者と掲げていた"裏ミッション"だったのだが、個人的には、数値目標の達成以上に嬉しかった大きな成果だし、強い組織が出来上がった結果だと思っている。

おわりに

「責任」という1つのテーマから、良いも悪いも体感してきた。実際には「責任」だけのはなしではないのだろうけど、チームで仕事をするうえで成否を左右する大きな要因だと考える。

オウンドメディアマーケティングに関わりながら組織のことを考えるとは思ってもみなかったけれど、とあるマーケターも、マーケティングが行き着く先は組織の改革だといっている。それを、身を持って感じた機会だった。


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