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習慣が個人をつくり、仕組みが企業をつくる

僕は「習慣」が好きだ。

昨年、「毎朝英語を30分勉強する!」と決めてから、前日にお酒を飲みすぎた日以外は、今日までの約1年は継続している。最近は、朝30分の勉強時間をオンライン英会話に切り替えてみた。

早朝、起き抜けにそのままパソコンに向かう。カメラに映る僕の顔はパンパンである。毎回フィリピン人の先生を選ぶのだが、フィリピンは日本より1時間時刻が早い。先生の顔はもっとパンパンである。

毎朝、むくんだ顔同士で、だいたい決まった会話が繰り広げられる。

先生「キミ、発音はそれっぽいけど、文法がぐちゃぐちゃダヨ」
僕「オーノー、アイシー、センキュー」

上達したのは、パソコンのカメラの画角に収まるように身振り手振りのジェスチャーを繰り広げるスキル(少し体を引いて、顔の近くで手を動かすのがコツ)で、肝心の英語力はあまり伸びていない。

英語の勉強以外にも、毎週10kmのランニング(これは8年くらい継続している)、毎週のトレーニング、読書、映画鑑賞、靴磨き、etc...僕の中で習慣化されているものは多い。

この話をすると「ストイックだね」と言っていただくことが多いのだが、そうではない。「ストイックに頑張らなくて良い状態」が「習慣」なのだ。例えば、お風呂に入ったり、歯を磨いたり、顔を洗ったり。これらは、いちいち「頑張るぞ!」と気張らないだろう。同じように英語もランニングももくもくと取り組んでいる。

習慣が素晴らしいのは、頑張らずして何かを継続できる点だ。継続は力なり。習慣がその人を作り上げるといっても過言では無い。歳を重ねれば重ねるほど、考え方や内面だけでなく、外見にだってその人の習慣が現れる。

そしてこれは個人だけでなく、企業や組織においても言える話だと思う。ただ、企業の場合は「習慣」を「仕組み」と言い換えたほうが良い。

昔、企業における「仕組み」のスゴさを感じる出来事があった。

当時立ち上げていた事業でトヨタ自動車のロゴの利用条件を確認したいと問合せフォームから連絡をした。しかし、間抜けなことに「トヨタの車を所有している個人オーナー用のフォーム」から連絡をしていたのだ。

僕は法人だし、車も購入していない。耳鼻科に行き「足の骨が折れてしまって…」と相談するくらいトンチンカンである。

「しまった…正しい窓口を探してもう一度問合せしなければ…」と思っていたところ、半日と経たないうちに丁寧な返事が来た。要約すると以下のような内容である。

・お問い合わせいただいたことに対する丁寧な御礼
・いただいた質問を正しく認識しているかの確認
・こちらの窓口ではお問い合わせの内容に回答できないという説明
・連絡をして欲しい本来の窓口の詳しい案内
・お問い合わせの際に必要な書類
・お問い合わせ方法における注意点(書面限定である旨など)
・直接回答できず、手を煩わせてしまうことへの謝罪
・追加の質問があれば気軽に連絡してほしい旨

返事の早さもさることながら、回答としての完璧さ、文面からあふれる真摯さに痛く感動した。世界中に大量の顧客をかかえ、日々膨大なお問い合わせを受け取っているにも関わらず、僕のトンチンカン質問にこの回答。日本最大級の規模を誇る企業で、指先まで神経が通った対応を感じた。

これほど的はずれな問合せ、下手したら返事すら返って来ないか、「お問い合わせ先が間違っているので回答できません」という返事が普通だろう。
そんな中でのこの対応、ちょっとすごくないですか?

個人的な感覚だが、強い企業というのは「スキがない」。人間の場合だと多少スキがあったほうがモテるというが、企業の場合はそうではない。製品の梱包、マニュアルの充実度、電話の応対、受付の綺麗さ、挨拶の有無、お問い合わせの返信文面、応対の早さ...どこをとっても「スキがない」。「スキがない」企業がお客様からモテるのだ。

では、「スキのなさ」が一体どこから来ているかというと「仕組み」だと考えている。AmazonのCEOジェフ・ベゾスの言葉で以下のようなものがある。(※出典: 「アマゾンのすごいルール」佐藤将之 (著))

『善意』は働かない。働くのは『仕組み』だ

「企業文化」や「メンバーの思い」は企業活動の起点となる重要な要素だが、それを「仕組み」にすることではじめて、世の中に価値を生み出すことができる。

トヨタさんのケースにおいて、僕の問合せを担当してくださったのが素晴らしい方だった、という可能性もあるが、きっとお問い合わせ対応の仕組みそのものが、大変良くできているのだろう。お問い合わせ担当個人の「やる気」「元気」「勇気」に頼っているわけではないはずだ。

「仕組み」は決まった処理プロセスなので、ルーティーンや単純作業として価値が低い業務とみられがちだが、そうではない。そもそも「仕組み」を作る過程は非常に創造的であり、組織が「仕組み」を実行し継続するには強い意志と根気が必要である。仕組みづくりはいつだって創造的な仕事だ。そうして出来上がった仕組みが、結果的に製品やサービスの優位性や独自性を生み出していく。「仕組みは企業を表す」のだ。

過去、色々な企業様と仕事をさせていただく中で、特に難しさを感じるのは「仕組みを実行し、維持する」ところ、いわゆる「オペレーション」の部分だ。ここはマネージャーや管理者の力量が試されるところで、ドキュメントの準備、進捗管理、教育、振り返り、体制づくり、トラブルシューティングなど様々な対応が必要となる。上手くいかないと、抜け漏れや遅れが発生して、顧客体験を損なう可能性がある。

この仕組み化されたオペレーションをマネジメントする考え方に「ビジネスプロセスマネジメント(BPM)」というものがある。これは、単純な"管理"から少し踏み込んだ概念を持った言葉で、「ビジネスプロセスを抜け・漏れ・遅れなく継続する」ことに加え、「プロセスの継続的な改善」「プロセスの自動化」という要素を包含している。

弊社では、現在、ビジネスプロセスマネジメントを組織でカンタンに行えるように『octpath』というクラウドサービスを開発している。各企業ごとに自社のビジネスプロセス(フロー)を登録することで、進捗管理や実行の支援をしてくれるサービスだ。

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2021年3月上旬のリリース予定で現在、事前登録を受け付けているので、ぜひ、チェックしていただきたい。「スキのない」企業づくりに役立てていただければ幸いだ。

https://octpath.com/

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。