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学校教育研究から考える、パフォーマンスを最大にする組織のマインドセット

皆さん、「非認知能力」という言葉をご存知ですか?

非認知能力とは、やり抜く力、好奇心、自制心、誠実さ、ポジティブ思考など、なかなか「認知することが難しい」能力のことです。

非認知能力とは、IQなどの認知能力と比べて、後からでも伸ばすことができる能力であると言われています。

ですので、学校教育においても、非認知能力を伸ばす研究というのは盛んに行われています。

今回はその研究の一つを紹介し、それを応用して組織のパフォーマンスを最大限まであげるための条件について話していきたいと思います。

非認知能力の能力

まずは、そもそも非認知能力ってどんな能力なの? という部分をお話していきます。

非認知能力は、何かで成功するうえでは欠かせない能力です。

例えば認知能力の一つである「IQ」が高いだけで成功できるのかというとそうではなく、それを活かすアイデアや、失敗しても何度でもチャレンジできる粘り強さが必要です。

また、非認知能力は後から伸ばせる能力でもあります。

一般的に「IQ」などの認知能力は、遺伝子で決まっている部分も多いのですが、非認知能力は環境などによって高めることができます

しかし、それでもなかなか高めることが難しい理由は、「教えることでは身につかない能力」だからです。

例えば、非認知能力を高めることが得意な教師は、「非認知能力というもの」についての話など全くしません。例えば、授業中に生徒同士で考えさせるなどして、生徒が自分から学びたいと思うような環境を作り、自然に非認知能力を高めていたのです。

非認知能力を高めるカギ

参考文献にのっていた研究によると、教師が生徒の「もともと」の非認知能力を高めることはなかなか難しいということだそうです。

しかし、「非認知能力が高い人がする行動」を起こさせるような……「見かけの非認知能力」を高めることは、環境を整えることによってできると言われています。

つまり、生徒自身の非認知能力は簡単には上がらないのですが、まるで非認知能力が高いかのように生徒が振る舞う「環境」は、作り出すことができるというのです。

そして、これができれば、「こういう行動をすれば成功できるのだな」という成功体験が生徒の中で積み重なり、生徒がそういった環境下でなくとも、非認知能力が高い人が行う行動をとるようになります。

こうなれば、もはやその生徒の非認知能力は高まったと言えるでしょう

行動が性格を変えるわけです。

では、どういった環境を作れば「見かけの非認知能力」を高めることができるのか……研究者はそのカギが、生徒の「マインドセット(こころのありよう)」にあると述べています。

以下の4つが、見かけの非認知能力を高めるために特に重要なマインドセットです。

1.私はこの学校に所属している
2.私の能力は努力によって伸びる
3.私はこれを成功させることができる
4.この勉強は私にとって価値がある

例えば所属意識があれば、その一員として学校が良くなるように努めたり、主体性をもって行動ができるようになるでしょう。

また、努力を信じることができれば、しっかりと努力をして、そしてその努力が自信となります。

成功を信じる気持ちは、失敗を恐れないチャレンジ精神につながりますし、勉強への価値を見いだせれば、誘惑に強くなることができるでしょう。

そして、これらに共通して言えることが、「粘り強さ」をもたせてくれることです。つらいことがあったり、多少失敗したとしても、継続していく力をこれらのマインドセットは与えてくれます。

ですので、この4つの条件を生徒がクリアできるような環境作りが、教師がすべきもっとも大切なことなのです。

組織のマインドセット

これはあくまで「教師が行う、生徒が(学業で)成功するための学校の環境作り」ですが、この4つのマインドセットはいろいろな組織において応用することが可能でしょう。

例えば企業や仕事を行うチームでこの4つを適用させるなら、以下のように少し言葉を変えるだけです。

1.私はこの会社(チーム)に所属している
2.私の能力は努力によって伸びる
3.私はこれを成功させることができる
4.この仕事は私にとって価値がある

これらのマインドセットがパフォーマンスをあげることは、以前にもご紹介しています。

1.所属意識がないことは「主体性」を失わせてしまうことになるので、所属意識はモチベーション維持にはとても大事な要素です。

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2.自分の努力を信じることができるマインドセットを「成長マインドセット」といいますが、成長マインドセットがあれば失敗を過度に恐れることがなくなります。

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3.「仕事が成功する」と信じること、そして成功すると信じられるようにするために小さな進捗を意識することは、仕事の成功に大きく影響します。

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4.人は「何故」を考えるとモチベーションがあがります。仕事への価値を見出せば、それが「何故」への一つの答えになります。

「何故」と「何」を使いこなして目標を達成するには

非認知能力は成功へのカギであり、非認知能力は環境によって変えることができます。

あなたがもしその環境を作る立場になったら、ぜひともこれらを意識して、組織のパフォーマンスを最大にし、成功をつかみ取ってください。

参考文献:私たちは子どもに何ができるのか――非認知能力を育み、格差に挑む(ポール・タフ)

ps
教師に求められる能力は、今の教師に払われる給料には到底見合っていないように思えます。

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