算数と数学を「断絶」させたがる人たち

毎年3月のこの時期になると、塾には中1数学の予習をしたがるという方が入塾されます。毎回そこで説明するのは、「中1数学なんて小学校算数を、記号の書き方とかを変えただけだよ」ということです。言い方を変えれば、小学校までの算数を頑張ってきた子どもは中学数学の8割はクリアしてることになります。これがどういうことかを簡単に書いてみました。

中1数学はほとんど算数

中1数学の内容は、多少の変化はありますが概ね
① 負の数
② 文字式
③ 一次方程式
④ 比例・反比例
⑤ 平面図形
⑥ 空間図形
です。とはいうものの、文字式も比例反比例も平面図形も小学校でやってるんですよね。だからそことうまく接続してあげれば何も問題はないんです。

逆に、わざと数学嫌いを作りたいのかというような人は以下のようなことを言います。

・数学と算数は違う
・数学では算数になかったものの見方が必要とされる

大体そういう人に、どこが違うのか?と尋ねると
「数学ではxやyを使う」とか、「算数に証明は存在しない」とか返してきます。xやyのような文字は、あくまで実際の数を一般化したものにすぎないし、□や○をつかって整理するのは小学生でもやってます(小学校算数の「文字をつかった式」を参照)。算数では証明をしない、というのもよくわかりません。記憶には残りづらいですが、台形の面積の求め方を導いたりは算数の教科書にちゃんと載ってます。台形の面積の式を証明できますか?

方程式を教える際も、移項とかいって変な教え方をします。例えば

x + 20 = 21

という方程式があったとき、どうやって考えますか?多くの小学生は、「20に何足したら21になるかな?」とシンプルに考えます。しかし中学生になると20を移項して、そうするとプラスがマイナスになって、、、みたいな複雑化をします。ただただわかりづらいだけです。

加えて、方程式を解く上で必要な作業は、「=が成り立つなら両辺に同じ操作をしてもOK」というルールだけです。このルールを使って式をいじっていくだけ。この間でときどき計算ミスをしたり、難しく考え過ぎたりして間違えるのがほとんどです。アイディアを理解できない人はほとんどいません。最悪なのは、「等号をまたぐと符号が逆になったり、かけ算がわり算になる」というような指導です。

結局、「数学のできない子ども」は大人のマッチポンプ

そしてこれが、いわゆる大人たちの指導によって作られている問題であるのです。小学生がやるような純粋でわかりやすいアイディアを、中学に進学したときに大人たちが奪うんです。それで、「中学数学は算数とは違うから注意しましょう」なんて大人が抜かします。こういうのを「マッチポンプ」と呼びます。

個人的には、もっとシンプルに考えて中1数学なんてささっと片付けてほしいのにな〜と思っていますね。

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