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SS 52 「水シャワーを浴びる」

真夏のハーフマラソン。気温37℃の中を淡々と走ってきた身体には熱がこもっていて、汗が止まらない。更衣室のシャワーの順番を待って、頭から水シャワーを浴びる。少しずつ熱が抜けて行くのが心地よい。

表面温度は200℃まで下がった。

金星の大気を無事に抜けて、地球に向かう。ここは金星探査船の中。いや、それは不正確だ。私は金星探査船。金星の大気に突入し、高温強酸の大気を回収して地球に戻ることを目的とした初の試み。その操縦を担う人工知能が私。想定外の事象に対処するファジー判断のために、開発した博士の記憶が全て収められている。

博士の趣味はランニング。宇宙空間のマイナス270℃がいま、水シャワーの記憶と結びつく。

次に来るのは金星の影を出てからの太陽光の灼熱シャワーなのは知っている。

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