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書評 208 「ふしぎな社会」

著作の多い社会学者、橋爪大三郎さんによる中高生向け社会学入門書。文庫化前の原題「面白くて眠れなくなる社会学」の方が内容に合っている。

人間と他の動物の違い。それは言語を介したコミュニケーションと組織的な集団化によって生存可能性を高めること。この様なまとめは一般的によくあるが、そのコミュニケーションや集団の維持に必要な要素を一つずつテーマにして、平易な言葉で説明。さらに元々は人間の集団間での生存競争を勝ち抜くために生じた家族、宗教などにも触れる。

本書の目的からか、幸福や正義の定義といった倫理学や哲学に属するテーマにも踏み込んでいる。著者の考え方を押し出す点も散見されるが、思考訓練の端緒としては不可ではない。

「世の中とはそういうものだ」
この言葉で、自らが属する集団社会の仕組みやルールを覚えていくのが人間。しかし、それは何故なんだろうとの疑問が湧いてくる。その時にガイドになってくれそうな一冊。


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