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書評 194 「風の谷のナウシカ」

数十年ぶりの再読。
ジブリアニメとして有名な作品だが、これはアニメ専門誌に宮崎駿さん自ら描いて連載していたコミック。アニメよりも遥かに長く、スケールが大きい物語。全7巻。

アニメもハードなストーリーだが、こちらはそれに輪をかけて厳しい設定となっている。読んでいて苦しくなる場面も少なく無い。パラレルワールドの最終戦争後の世界の姿で、その世界の再生の過程で苦しみながらも生きる人間の姿を描いているのはアニメと変わらぬベース。ではなぜ世界再生のための仕組みができたのか、人はなぜその中で生き永らえているのか、再生後の未来はどうなっているのか。そこが非常に重い設定なのだが、その重さを受け止めて、辛くとも強い決断と行動をする主人公の姿から感動を得る。

著者の反戦主義、大量破壊兵器反対の姿勢は色濃く出ているが、そういった思想の枠を外れて読むべきだろう。

ファンタジーではなく、ハードSFを好む人に薦めたい一冊。


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