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書評 175 「限界の正体」

為末大さんによる2016年の著作。限界は自分が思い込んでいるだけで、実はそこが限界では無い。こんな話を近年よく聞くが、それがテーマ。同時に必ずしも努力は報われないとも著者は言う。そして、この2つは矛盾しないとも。

ただひたすらに努力を重ねれば、突破できない壁はない。そんなことは無い。ただがむしゃらに進んでも壁には止められる。しかし、壁を越える方法を探し、見つけた方法を実行するならば、壁は限界ではなくなる。こんな話が様々な例を挙げながら、順序立てて書かれている。

この本の価値は、壁の越え方についても書かれていること。他者と自分の比較とか、外部からの評価の受け止め方といった自身の思考法。また、自分を客観視して、自分の才能が生きるステージを見つけようなんて話が、初志貫徹とは反する面もあって面白い。

限界について説得力のある話ができるのは、著者がいくつも壁を越えた末に本当の限界を見たからだろう。


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