見出し画像

書評 71 「アマテラスの誕生」

サブタイトルは「古代王朝の源流を探る」。古墳時代〜飛鳥時代に大和朝廷が日本を統一していく過程で、大王(天皇)を天孫から連なる神の子孫として権威を作った。その「神」の中の最高神が天照大神というのが現在の認識であるが、当初は違ったと著者は言う。

当初は大陸から入った神話を下敷きに作られ、それを国家統一の中で地方豪族や民衆の支持を受けやすくするために、広く信仰のあった太陽女神を最高神の地位に置き換えたという説を様々な論拠からわかりやすく展開する。

初期の頃はまだ日本は文字が成立していない時代であるがために記録(史料)が無いのが研究者には辛いところと吐露しつつ、古事記と日本書紀の対比であったり、同時代の複数の事象を並べて俯瞰した時の合理的解釈を示す。その展開は一般向けの易しい新書でありながら科学的で、説得力がある。日本史、とりわけ古代の国家成立の時代に興味がある人ならば楽しめる一冊。

https://www.iwanami.co.jp/book/b225959.html

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?