書評 36 「キャプテンサンダーボルト」
エンタメの伊坂幸太郎と純文学の阿部和重による共作。中身は伊坂流のエンタメ小説です。いつもの東北を舞台にした冒険活劇。ちょっとだけ変わった普通の青年2人が主人公となり、異常な登場者による異常な事態に立ち向かっていく。
もちろん全てがフィクションですが、特殊な感染症やテロの恐ろしさが全編を通じて織り込まれています。2014年の刊行ながらその後の期間に世界各地で起こったテロや暴発的事件、また昨年からの新型コロナ禍を思うと、今読み返した時にリアリティを感じずにいられません。
500ページ超となかなかの大部ですが、息が詰まりそうなスピーディな展開に一気読みしてしまいます。
新潮文庫から昨年発売された新装版には後日譚となる短編と作者2名による対談が収められています。刊行当時は不思議だったこの2人の共作ですが、実は互いに認め合う関係があってのものだったことがよくわかります。
https://books.bunshun.jp/sp/ctb
https://www.shinchosha.co.jp/book/180201/
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