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書評 207 「ルポ 高学歴発達障害」

書名にある通り、面談による取材を束ねたルポ。

発達障害者の中に生まれる天才をテーマにしているのではない。有名大学を卒業しながらも、社会適合に苦しむ人々を題材にしている。

発達障害を受け入れる素地は徐々に広がっている。しかし、本書の取材対象となった人たちは高学歴故に周りが発達障害と見てくれない。また、本人もそのギャップの様なものに苦悩する。その現実を著者は示そうとする。

その中にもうまく生きる道を見出した人もいるが、そこには機会やパートナーの助けがある。個々の長所を拾い上げて社会全体で活かしていくことが一層求められるとのメッセージとして見せたいのだろう。

後半ではこのテーマに取り組んでいる専門家たちへの取材も複数挙げている。医師や就業支援の他に、国立大学で就学環境を作るアクションが続いていることは広く知られても良いのでは、と感じた。

発達障害とそれ以外。その境界は一体何なのかと考えさせられる一冊。


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