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書評 98 「WHAT IS LIFE? 生命とは何か」

物理学者シュレディンガーの同名の書をオマージュとした、生物学者ナースの書。テーマは同じで「生命の活動と維持の仕組み」。

シュレディンガーは物理学や化学の視点から生物の生命の仕組みを説明できることを記したが、具体的な説明まではたどり着いていない。そこから半世紀以上の時間を経た本書では、その間の科学の発展が反映され、生物の細胞の中でどの様な化学反応が起こっていて、複数の細胞がどの様に連携しているのかが説明される。ただ、遺伝についての記述はシュレディンガーが既にほとんど語っていたこともわかる。

生命の仕組みの基本は共通であり、組み合わせのバリエーションがあるのみ。なので、多様な生命の仕組みがあちらこちらで生まれたのではなく、たった一度の誕生から枝分かれしてきた。その進化の樹が後半で強調されている。

翻訳はくだけた文体で、読みやすい。2冊を続けて読むことで科学の発展にも興味が広がる一冊。

https://www.diamond.co.jp/book/9784478111079.html

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