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竹原の歴史的町並み #1

 最初の記事に写真で紹介した竹原の歴史的町並みは、とても重厚で素晴らしい町並み景観をもっています。最初に竹原を選んだのは、2019年の9月、私がnoteを始める前の一番直近に訪れた思い出深い町並みだからです。

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 竹原は製塩業や酒造業で栄えた商家町です。竹原駅の北側、歴史的町並みの西側は、現在は竹原の中心市街となっていますが、かつては広大な塩田が広がっていたそうです。竹原の歴史的町並みは「竹原塩」を北前船に積み出す港から西国街道に至る旧街道本通りをメインストリートとして、吉井邸、松坂邸、春風館頼家住宅、復古館頼家住宅、竹鶴酒造などの大型の商家が軒を並べています。さらに板谷小路、大小路などの脇道が交わるように伸び、地割りを埋め尽くすような町家群が塊となって竹原を構成しています。

 私が竹原に滞在したのは、時間の都合で3時間ほど。うれしくてメインストリートから脇道まで何度も行ったり来たりしながらグルグルと歩き回りました。

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 日本の歴史的町並みの町家の姿には、「平入」と「妻入」と呼ばれる大きく二つの様式があります。母屋の大棟が道路と並行し、屋根の庇が大きく道に向いているのが平入、大棟が道路と直角で、屋根の三角が道に面して見えるのが妻入です。竹原の平入の代表格が吉井邸、そして妻入の代表格が竹鶴酒造だと私は思います。竹原の町家は平入が多いものの、妻入や洋館がけっこう入り混じっていて、それが町並みのリズムに変化を生んでいて魅力的なのです。

 私は町並みを形成した町衆の歴史としての製塩業を知ることが楽しくて仕方ありませんが、正直なところ、歴史好きだったとしても、現在は行われていない製塩業の話となるとに具体的なイメージや興味が持ちにくいものです。でも、竹原は繰り返し映画やドラマ、アニメの舞台になり、眼にしたことのある方もいるのではないでしょうか。

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 1983年、大林宣彦監督の代表作である新尾道三部作の第二作「時をかける少女」では、尾道を舞台としながらも、主演の原田知世さんが演じる主人公の芳山和子が通学路としてこの竹原の町並みを歩く姿が登場します。

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 また、最近では2014~2015年にNHKで放映された連続テレビ小説「マッサン」で玉山鉄二さんが演じる主人公亀山政春のモデルとなったニッカウヰスキー創業者竹鶴政孝は、竹鶴酒造の竹鶴家の生まれで、ドラマでは実際に竹鶴酒造が登場します。現在は、竹原市歴史民俗資料館の庭にマッサンとリタの像を見ることができます。

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 さらには、2011年より放送されたテレビアニメ「たまゆら」は、竹原を舞台として、主人公の沢渡楓と、彼女を取り巻く人々の日常とささやかな夢を描くストーリーだったそうです。私は視る機会を得ませんでしたが、町並みの中だけでなく街のあちこちに「たまゆら」のイラストが飾られていて、今でもとても大切にされている作品であることがわかりました。竹原はアニメ「たまゆら」の”聖地”というわけです。ステキなことですね。

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このような映像作品は竹原の町並みの魅力をより深め、発信していると同時に、竹原の町並みがこれらの作品により力強い魅力を与えていると言うことができると思います。そしてやはり、力強い魅力の原動力は、江戸時代初期に始まり、「浜旦那」と呼ばれた豪商と屋敷を生んだ製塩業に他ならない、と思うのです。

この記事はここまで。最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。竹原の町並みの紹介は、もう少し続きます!

竹原市竹原地区(広島県の製塩町・重要伝統的建造物群保存地区)
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