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Silent Bomb

奴は静かに近づいてくる。
じわじわと近づいてくる。
来たなとそう気がついた時には、もう遅い。
そして一気に爆発を起こす。
終わりだ。

打ち合わせと納品のため出張があった。
なんだかんだでバタバタした後の出張だ。
そんな折、奴が近づいている感はあったのは事実だ。

打ち合わせや納品以外にも色々とすることが、
あったので、前泊で飲みに出た。
これが大ミスだ。
大いに飲み食いをし、出張の夜を楽しんだ。
そして
翌朝、俺の足は爆発を起こしていた。
エンドレスに来る痛みが酔いの残る俺を起こした。

出張ではかなりの距離を歩きで移動する。
奴と共に歩くしかない。
その間も奴は遠慮なしに俺を攻撃する。
その攻撃に耐えるため、薬と言う盾を購入。
しかし、そんなものは付け焼き刃だ。
歩を進めるごとにくる痛みが大きくなる。
奴の攻撃は止まらない。

今回の打ち合わせと納品は、
その後、会食も一緒にとのこと。
ヤバいか?と思いながらも打ち合わせへ。
打ち合わせ後、会食場所に移動。
ここで相手に爆弾のことを自白した。

やってくるファーストオーダー。
相手も俺が飲むことを知っている。
俺も男だ。腹を括り、俺がオーダーしたのは
ビールだ。
奴も俺も大好物の
ビールだ。
これは自殺行為なことは分かっている。
ビールは奴も大好物らしく、与えると
より活発に動いてくる。
しかし俺には相手がわざわざ用意してくれた
最高の場所と最高の料理を前に
この大好きなビールを我慢する選択肢など持っていない。

そして俺はこの日も大いに飲み食いし
いろんな話に花を咲かせ
この会食を時間が許すまでしっかりと楽しんだ。
シメまでいってやった。
おかげでいい夜になった。

しかし、奴もこの飲み食いを楽しんでいたことは一緒なのだ。
紛れもない事実だ。
会食の間も奴は全く遠慮もせず攻撃を繰り返していた。

そして翌朝。
爆発はさらに酷いことになっていた。
分かっていたことだ。
奴に餌を与えたのは自分だ。
知っていたんだ。

今回の出張は2泊で、
3日目は材料の調達やいろんな買い物などを
予定していた。
しかし、俺の足は靴を履くことすら困難な状態だ。
チェックアウトギリギリまで粘り、
いざ外へ。
歩を進めるごとにくるダメージが
ドラクエを思い出させる。
進む度に減っていくHP。

今回は車で来たこともあって、
最終日3日目の移動はほとんどが車だった。
しかし、駐車場から目的地、
そして、目的地から駐車場までは足を使わなくてはいけない。

結局、この日俺は自分の残りHPに奴の攻撃力
そして自分の歩くスピードなどを考え、
最低限の目的+チョイで帰路につくことになった。

こうして奴と共に過ごした出張に幕を下ろした。

次回 その後

Believe in the power of writing

Ambiance Maker Ko-Ta

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