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Vol.16 喫茶店 ※微ホラー

夏の終わりに
今日はちょっとだけ怖い話。

黄色い喫茶店

今は別の道ができたから使うことはほとんどなくなったけど、小さい頃に車でよく通る道があった。

その道は途中交差点がいくつかあるものの、
ずっと一本道が続いていて
昔から通るのが不気味な道だった。

でも、そんな道にも唯一安心していた場所があった。


それは道中にある黄色のかわいい喫茶店だった。


私は店の中に入ったことはなかったけど
車で店の前を通る時に窓から見える
ウェイトレスさんのかわいい制服や
店内の明るい感じ、
コーヒーを飲むお客さんの姿に
"あ。楽しそうやな〜"と思って見ていた。


また別の日に通るとお店は閉まっていた。
定休日というよりも店自体が閉店しているように見えた。


その時は"あれ?"と思いながら
また別の日に店の前を通ると
ちゃんとお店は繁盛していた。


"なーんだ、よかった。"
と子供ながらに思っていたけど
少し大きくなってから
その喫茶店のことを話題に出した時に
真実を知って驚いた。


その喫茶店は私が店の前を通るようになる
何年も前からとっくに閉店していた。


それではじめて
あの時見えていた光景の異様さに気が付いた。


だって店の前を車で通過するだけの一瞬の間に
店内にいる人の服装や
注文された商品の内容が事細かに見えていた。


そういえば
駐車場に停まっている車も古かった。


今思い出してもぞくっとする話。

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