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Vol.15 天国の入口


いーこが中学1年生の時に
いーこのおじいさんのお葬式の日に見た
不思議な光景の話。

(※この体験が、後にいーこ自身が自分の"視える能力"を自覚するきっかけになる。)

宙に浮かぶ不思議な光景

祖父のお葬式は自宅葬で
その光景を見たのはたしかお通夜の夜だったか。

夜の20時頃かそれくらいにお参りが終わり
ふと2階の自分の部屋に行きたくなった。
その時間だと部屋は真っ暗なのに
私は電気も付けずに何故か窓際に向かった。

祖父のことはむちゃくちゃ好きだったから
とても寂しかった。
はあ、と思いながら、
ボーッと空を見上げた。

"あー、お月様か。"と思ったら違った。
脳をフル回転しても
理解できない現象が目の前で起こっていた。

私がお月様だと思って見ていたものは
【あの世の入口】だった。


それは丸い形をしていた。
(まるでドラえもんに出てくるタイムマシンの出入口みたいだった。)
大きさは大人が手を広げて丸を作ったくらいで、それほど大きくはなかった。

その中に見える景色には道などはなく、
見渡す限り綺麗な蓮の花畑が広がっていた。


それを見た時、
"あ、(亡くなった人は)
ここを歩いていくのではなくて
飛んでいくんだな。"
ということが直感的に伝わってきた。

地面一体は澄んだ碧色をしており、
まるで煙のようだった。

咲いている蓮は普通の蓮とは異なり、
茎はすべて金色で鉄製のようであり、
茎の間にガラス細工の飾りがついていた。
花は綺麗な桃色をしていた。

空も茎と同じく金色をしていた。

手を伸ばせば触れられそうな、
でも届かない絶妙な場所にそれは突然現れた。


私はそれを見た瞬間、恐怖心よりも
好奇心と、
"絶対に祖父がお別れの挨拶をしにきてくれたんだ!"という思いが勝り、
宙に浮かぶ円の景色を夢中で見つめていた。

"もっと近くで見てみたい!"と
自分の部屋から隣の部屋のベランダへ
慌てて飛び出した。

その甲斐あって、円の景色はよく見えた。
でもふと奇妙な感覚を覚えた。
さっき自分の部屋から見ていた時は
円の景色を真正面から見ていた。

今は真横から見ているはずなのに
円の景色はさっきと変わらず真正面から見えている。

"じゃあ下から見てみよう!"と
私は外へ飛び出した。
でもやっぱり下から見ても
円の景色は最初に見た時のまま、
真正面からの光景をしていた。

もう一度2階の自室へ戻ってから
改めて近くで見て、景色を目に収めたいなと思ったら、嘘のようにその光景は消えてなくなっていた。

その時に
"あー、あれは天国の入口だったんだなあ。"
と理解した。

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