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民事訴訟はカンタンです。
こんにちは。リバーです。
久しぶりに交通事故の話題についてお話ししたいと思います。
交渉の決裂
交通事故の解決は、示談交渉という話合いによって解決することが一般的です。
しかし、時に互いの主張の相違が激しく折り合いが付かない場合があります。
・正当な賠償金額を受領したいのに、相手が支払ってくれない。
・正当な賠償金額を支払おうとしているが、相手がそれを超えた金額を要求する。
上記の様な主張を互いにぶつけ合っていたとしても、永遠に解決には至りませんし、法律で損害賠償を請求できる期間を定める「時効」という考え方もありますから、平行線を辿り続ければ、賠償金額すら貰えない可能性すらあるのです。
交渉が決裂した場合、あるいは交渉が長期間に渡って膠着している場合、どうするべきか。
裁判所の裁判官に判断を委ねるべきです。
裁判官は、公平な立場で法律に照らし、社会通念上妥当な賠償金額を決定してくれます。
え、、、裁判を起こすの?弁護士に依頼する費用は?手続きは煩雑では?
大丈夫です!!
弁護士資格のない私でも何回も民事訴訟を起こしています。手続きはそれほど煩雑ではありません。
その方法について、今回は説明していこうと考えています。どうぞ、ご覧ください。
① 訴訟制度の全体像
・民事調停:話合いによる解決
裁判官と一般人から選出された調停委員からなる調停委員会が合意を斡旋し、当事者の話合いによる解決を図ります。
当然、相手方が不出頭の場合やどうしても折り合いが付かない場合は、調停に代わる決定として、裁判官が調停委員の意見を聴き、当事者の言い分を公平に考慮して解決に必要な決定を行います。
管轄する裁判所は、簡易裁判所です。
・民事訴訟:判決による解決
裁判官が法廷で、双方の言い分を聴いたり、証拠調べを行い、判決によって紛争を解決する手続きです。
実際には、言い分の聴取(答弁書の提出),証拠調べが終わり、証人尋問の前になると、裁判所から和解案が出されます。
ほとんどの場合、その和解案は妥当なもので、判決の内容とそう変わりはなく、和解で解決する事件が多いです。
管轄する裁判所は、請求する額が140万円以下の場合は簡易裁判所、それ以上の場合は地方裁判所です。
・支払督促:書類審査のみで迅速に請求が可能な手続き
申立人の申立てに基づいて、裁判所書記官が金銭の支払を督促する手続きで、相手方がこれに異議申立てを行うと、通常訴訟の手続きに移行します。
しかし、異議申立てが所定の期間になければ、申立て内容はそのまま確定し、判決同様の効力を持ちます。
管轄する裁判所は、簡易裁判所です。
・少額訴訟:原則1回の審理で判決が確定する判決による解決
60万円以下の金銭の支払を請求する場合にのみ利用できる訴訟手続きです。
通常の法廷ではなく、裁判官と原告と被告が円卓に着席して、1回の期日で審理を終えて、判決をする手続きです。
そのため、争点の多い事件は向きません。
また、判決に不服があったとしても、控訴はできません。
管轄する裁判所は、簡易裁判所です。
② 訴訟の原告になれる人物(裁判を起こすことができる人)
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言葉の整理
・原告:訴えを起こして、被告に請求する当事者
・被告:原告から訴えられ、請求を受けた当事者
・訴訟代理人:訴訟手続にて、訴訟代理権を有し、本人のために訴訟を代理(訴訟追行)する者
・損害賠償請求訴訟:原告が被告に対し、損害賠償金を請求する訴訟
・債務確定確認訴訟:原告が被告に対し、原告が支払うべき損害賠償金を確定させる訴訟
・債務不存在確認訴訟:原告が被告に対し、原告に損害賠償責任がないことを確定する訴訟
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訴訟というものは、原告と、被告が居ます。これは、みなさんもご存知でしょう。
では、具体的に誰が原告や被告になれるのでしょうか。確認していきましょう。
原告:判決によって保護されるべき法的利益が帰属する人物
損害賠償請求訴訟のとき
・交通事故によって損害を負った自動車などの財物を所有する所有者
・交通事故によって身体を害された人物
債務確定確認訴訟と債務不存在確認訴訟のとき
・交通事故によって他人の財物や身体に損害を与えた人物
・交通事故によって他人の財物や身体に損害を与えたと疑われている人物
被告:判決により、原告の法的利益が保護されるという関係にある人物
損害賠償請求訴訟のとき
・交通事故によって他人の財物や身体に損害を与えた人物
・交通事故によって他人の財物や身体に損害を与えたと疑われている人物
債務確定確認訴訟と債務不存在確認訴訟のとき
・交通事故によって損害を負った自動車などの財物を所有する所有者
・交通事故によって身体を害された人物
・また、それぞれ賠償請求権を主張する人物
以上が、それぞれに訴訟において、原告や被告になることができる人物です。
え?弁護士は?原告になれないの?親族は原告になれないの?
そう。弁護士や親族などの当事者でない人物は、訴訟代理人という立場であって、原告にも被告にもなれません。
ここで、訴訟代理人について、整理しましょう。
訴訟代理人
訴訟代理人は、法定代理人と任意代理人と法令上の訴訟代理人の3種類に分類されます。
・法定代理人
例えば、当事者が未成年者である場合、民法第818条に定める親権者が選定されます。また、親権者が居ない場合には、民法第838条に定める後見人が選定されます。
つまり、法定代理人は、未成年者などの訴訟能力に欠ける者の保護を目的としています。
・任意代理人
弁護士,(簡易裁判所の訴訟事件に限り)司法書士
・法令上の訴訟代理人
法律の規定により、訴訟代理権が認められる一定の地位を有する人物
支配人,船舶管理人,船長など、商法に定める人物や、法人の代表者や法人出ない社団や財団でその名において、訴えまたは訴えられることができる管理人などの民事訴訟法における特別代理人です。
私は、弁護士資格はありませんが、会社の名において訴えを起こしたり、訴えられた時に訴訟代理人となれるのは、この特別代理人に選定されることができるからです。
特別代理人になるには、訴訟事件ごとに、特別代理人の許可申請書を裁判所に提出し、裁判官に許可を貰う必要があります。
③ 訴訟手続きに必要な書類など
必要な書類などは、大きく分けて、「訴状」「申立手数料」「添付書類」の3つです。
今回は、損害賠償請求訴訟に必要な書類などを説明しようと思います。
訴状
訴状の書式は、裁判所のHPに掲載されてありますので、ダウンロードして利用すると簡単だと思います。
私は独自に様式を作って作成しています。使いやすい方を使用してください。
申立手数料
添付書類
当事者が法人の場合、登記事項証明書1通
当事者が未成年の場合、親権者を証明する戸籍謄本1通
証拠書類
訴状の複本、相手人数分
など
④ 注意点
・手間がかかる
自身で、相手方に対して、訴訟をする事は簡単です。
しかし、当然手間はかかります。
・相手方が弁護士委任をする可能性がある
相手方が自動車保険または共済に加入している場合、対物保険または共済では、応訴にかかる費用は補償されていますので、相手方が弁護士に委任する場合があります。
(相手方から損害賠償請求を受けた時、相手方に対する賠償額について争った訴訟は応訴費用として対物保険・共済で支払いが可能です。)
え、弁護士に委任されたら負けてしまうやん…と思わないでください。
裁判官は、公平に判断をしてくれます。相手方の弁護士は、何かしらの理屈をつけて、嫌なところばかり突いてきますが、感情を抜きにした真実を述べることが重要です。
・弁護士費用補償特約に加入していれば、万事解決
弁護士費用を補償する特約を自動車保険または共済に付加していれば、交渉や訴訟手続きを全て弁護士に任せることができます。
これが1番安心ですよね。年間コストはかかりますが、やっぱり加入しておくべきです。
⑤ 訴訟より簡単な解決手段(個人的に公平かは疑問だが。)
・交通事故紛争処理センター
自動車事故に係る損害賠償問題の紛争解決を中立公正な立場から無料でお手伝いする公益財団法人です。
斡旋期日は概ね3〜5回程度です。交渉が平行線であったとしたもの、最終的な解決案(斡旋案)をセンター側が申立人側に示し、申立人側がそれに応じれば、その解決案を持って和解が成立します。
保険会社や共済組合は、交通事故紛争処理センターと協定を締結しており、交渉が平行線であったとしても、最終的な解決案をセンター側が示した場合、断ることができません。
従って、相手方被保険者または被共済者が保険または共済に対して、相手方への賠償を拒んだとしても、センター側が示した解決案は、相手方が加入する保険会社または共済組合への直接請求を成立させますから、判決同様の効力(差押命令はできない。)が生じます。
簡単に言えば、センター側の解決案はほぼ絶対なのです。
申立人側にとっては、とても有利です。
しかし、保険会社または共済組合側は控訴権等も無く、公平性を欠くと私は考えています。
・日弁連交通事故相談センター
システムは、交通事故紛争処理センターと同様です。
しかし、こちらは円満解決を重じている様で、私の肌感覚では、交通事故紛争処理センターよりは、公平性が保たれていると考えています。
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