小旅行で思ったこと
今年の5月3日、僕は自宅から100kmほど離れた足利市にいた。
1月末に放送された「ブラタモリ」を観ていて、足利に興味を持ったのだ。
訪れたのは織姫神社と足利学校。
自宅の近所にはない空気感、街並みに心は躍った。
織姫神社は社殿がとても美しい。鮮やかな赤は息を呑むほど。標高100メートル程度に位置しているので、後ろを振り返れば足利の街が一望できる。高い建物がほとんど存在しないため、遠くの山まで見渡すことができる。
足利学校は、教科書にも出てくる日本で最も古いとされる学校。当時の教育について知ることができる大事な史跡である。
どちらも足利駅や足利市駅からは1kmほど離れている。どちらへ向かう道も落ち着いた雰囲気のきれいな地域の商店が充実していて、「旅の醍醐味はこれだよな」と思うほどに寄り道してしまう。
しかし、1本奥に入ればどうだろう。
年季の入った、僕ら観光客には少し入りずらい居酒屋などの商店が存在している。それらからは地域住民の暮らしや息遣いまでを感じることができる。
一方、営業していないであろうお店も多く見られた。建物には蔦が這い、お世辞にも景観がきれいとは言いがたい。
ただ、なぜであろうか、すごく好きな建物だ。
その昔、これらの店が流行っていたことは想像に難くない。今やっていても流行っていたのではないかと思わせるような年季の入り方である。
僕の地元では閉店したお店がすぐに取り壊されて新しい建物が建つ。
それを羨ましいと言う人もいるかもしれない。が、思い出で彩られていた建物が取り壊されるのは見ているだけで辛いものがある。思い出と建物と一緒に歳をとりたかったと思うのだ。
だからどうか壊さずこのままあってほしいと思う。それも観光の形になるのではないか。
観光地ながら、今、日本社会全体で抱えている空き家や少子高齢化などの問題も例外なく見られることができる足利市が僕は大好きなのである。
織姫神社は学業の神様であり、恋愛の神様である。デートスポットとしても有名だ。
僕は5月に受験の合格祈願、12月に報告ということで訪れたりしている。
いつかは、恋人と、そんな日を夢見て、このコラムを終える。
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