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【連載】わたしの湯 vol.3 / スタッフ紹介

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小杉湯がまだ動き始める前。誰もいない真っ暗な窯場に、ガラガラっと扉を開けて静かにやってくる彼の名はゴッド。“神=ゴッド” 決して口数が多い方では無いが、今回のインタビューを通じて、ゴッドと言われる由縁を、肌で感じられた気がする。
「わたし、ゴッドのことをマジで尊敬してるのね。ゴッドがいなかったら、お風呂は湧かないし…細かいところまで目が行き届くところは本当に尊敬してる。ゴッドを見てると“コツコツ続けること”って本当に大事だなと思うんだよね。」そう話すのは美帆さん。
“小杉湯を内側から好きになって欲しい“と始めたこの企画。まさに彼が内側の、縁の下の力持ち。”小杉湯が変わらず毎日ここにある“を当たり前にしてくれている人だ。

企画:つっつー/インタビュアー:みほ/編集:ガースー
写真:Gota Shinohara/編集協力:江口彩乃

小杉湯との出会い 即決

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—わたし(みほ)と同じか、それより前くらいからゴッドはいるんだけど、ゴッドはなんで小杉湯で働いたんですか。
色々な偶然があったんですけど。(笑) 元々風呂なしのところに住んでて、そこを借りるときに“近くにコインシャワーあります”って言われて借りたんだよね。だから小杉湯のことも知らなくて。その生活を…2年くらい続けてたかな。

—え!?2年間コインシャワー!?その時点でもう尊敬するわ。それで?
週末にうちに結構な頻度で友達が泊まりに来てたんですね。3人、4人とか。千葉とか埼玉とかの方から僕のうちにきて、話したり寝たりしてたわけですよ。でも、風呂がないから、友達は銭湯に行ってからうちに来てた。銭湯から帰って来た友達が、「あそこの銭湯スタッフ募集してたけど、どう?」と言われて、それが小杉湯だったわけなんですけど。そもそも僕はコインシャワーに行ってたから、どこのこと?って。(笑) 銭湯で働くっていうのを想像したときに、行ったことが無かったから想像つかなくて、面白そうだなって思って。

— へー!そのときは茂さん(二代目)と話したの?
うん、茂さんですね。最初どういうお風呂なのかと思って入りに行ったの。友達が言ってた通り、“募集してます”て張り紙してるな〜って思いながら、実際入ってみた。入ってみたら、お風呂も広いし、“結構、銭湯っていいな…” “ちょっとやってみようかな”と思えて。その日、番台に茂さんはいなかったんですけど、番台に座ってた方に、「そこの募集見て、僕これやりたいんですけど」って言ったら、裏から茂さんが出て来て、改めて「これ(募集を)見て、僕やりたいんですけど」って言ったら、「じゃあお願いします」みたいな。(笑)

—えー!?即決だったんだ。
その場で「じゃあ段取りの方から…」って裏に案内されて「仕事の時はこちらから入るようにしてください」って。それから今はもう8年くらい。その時は深夜清掃の方だったので、仕込み※はしてなかった。
                         ※仕込み=開店準備
—深夜清掃として働いたんだ。どうだった?
結構面白かった。(笑)

深夜清掃から仕込みへ ゴッドが仕込みを好きな理由

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—仕込みは、ゴッドからやりたいって言ったの?
それは状況的にっていうのがあって。(仕込みをやってた先輩が辞めることになって)昼の仕込みやることについてどう?って話になるじゃないですか。その時にやりたいですって。

—夜間清掃と仕込みは、どっちの方が好き?
僕が好きなのは仕込みの開店準備の方です。仕込みの方が、自分のペースでやりやすい。

—やっぱ大坪ペースがあるんですね。私が「ゴッドー!」って大声で呼んだりするから。本当にごめん。
いやもう、“お願い!”って飛んでくる度に乱れていく。(笑)

—仕込みってすごく大変だなって思うんだよね。機械はもちろん古いし、トラブルも多い。でも、その上でやっててよかったなってどんな時に感じる?
なんか、僕が仕込み好きなのは自分のペースで作業を進められるっていうのと、“これから始まる準備をする”っていうのが好きなんだと思う。開店準備って仕事をしてるんだけど、僕の中で一日はまだ始まってないの。開店準備が終わって、お客さんが入ってきて、お風呂の音が聞こえてくる。そうすると、お店も始まって、一日も始まったなって感じるんだよな。

—カッコイイ〜!めっちゃかっこいいんだけど。
結構これは自分で気づいた時も、「あ、そうなんだ」と思った。自分が開店準備してる時、全然始まった気分じゃないなって。特に先輩から引き継いでやるようになってすぐの頃は、まだ裏の事務所の方にも人がいなかったから、仕込みの作業ってマジで静かだった。それこそ14時くらいに初めて太鼓の音がするみたいな。仕事を進めてても、“何かが始まった”って気分じゃなかった。お客さんからしたら一日の途中とか一日を過ごして来てやっとお風呂に入る感覚かもしれないけど、こっちの感覚としては、お客さんが入ってようやく血が巡るというか。

— 一緒に働いている上で、ゴッドは自分の色が強い方ではないかなと思ってたんだけど、仕事とか見てるとすごく丁寧だし、毎日の積み重ねがあるのはゴッドがいるおかげもあるよね。
やっぱその辺は言っていただいてあれですけど、もちろん僕だけの力ではないので。お風呂は毎日掃除しないと汚れる一方なので、日々の清掃を、深夜にも関わらずよくやってくれている深夜清掃のみなさんには感謝しています。掃除のやり方だったり、道具だったりを良くしようって変えたりしているけど、その時に僕が考えていることは、掃除のクオリティが良くなるっていうのと、ある程度“楽か”っていうのがあって。実際に楽かどうかっていうのよりは、楽に感じられるか。時間的な余裕とか肉体的な余裕があると、“じゃあ丁寧にやろうか”っていう余地が生まれると思ってるんで。みんな小さいところで改善したいなってところがあると思うんですよ。そういうところを言ってもらって、良くして、より楽に、より丁寧にできたらなっていう感じですね。何か思いついたら相談、アドバイスよろしくお願いします。

小杉湯でやりたいこと 命懸けで…画像4

—小杉湯で働いて8年経った今、やりたいこととかなんかあったら教えてくれると嬉しいな。
実は以前に、銭湯に入りながらテレビゲームで遊ぶイベントをやらせてもらいました。浴室に液晶モニターを運び込んで、お湯張って… 全く同じじゃなくていいから、また“お風呂×ゲーム”みたいなのをやりたいな、と。

—ゴッドは時々“お休みが欲しいです”って時があるのね。その時に何するの?って聞いたらライブに行きますって言ってたよね。時々その綺麗な爪にネイルをしてる時があって、なんだこの人は?なんのライブに行ってるんだ?って気になってたんだけど。
その話します?(笑)  大好きな、プリパラのライブですね。ゲームとテレビアニメの作品で、ストーリーとリンクする劇中の歌がめちゃくちゃ好きなんです。同じシリーズにはプリティーリズム、プリチャン、キング・オブ・プリズムという作品もあって、こちらもめちゃくちゃイイ歌ばっかりです。

—初めてゴッドの好きなことを聞いた気がします。(笑) それに行って盛り上がってたんだ。
そうです。4月5月にもライブの予定があったんだけど、コロナの影響で中止になってしまって非常に残念ですね。

—今まで小杉湯では音楽イベントとかやってるじゃん。もし、今後プリパラちゃんが来たら大号泣する?
いや、もう朝まで徹夜で掃除します。

—アッハッハはっは〜(笑)命懸けで。(笑)
せざるを得ないですね。

—こちらもプリパラを呼べるくらいまでみんなで頑張りたいなと思います。それまでは仕込みとか夜間清掃含めて頑張ってくれたら嬉しいな。

わたしの湯 この建物が“顔”なら、働くスタッフは“性格”

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わたし、顔だけじゃなくて、性格も好きになって欲しいなって思うんです。小杉湯の建物とか、いつも表に出てるスタッフを“顔”とするなら、裏方で働くスタッフが小杉湯の“性格”だと思うんですよ。小杉湯って顔もいいし、性格もいい。わたしが小杉湯の友達だったら、めちゃくちゃみんなに推したいです。

今回の登場人物 小杉湯のひとたち

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Photo gallery by Gota Shinohara

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