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老人ホーム選び7つのポイント!主な入居条件を整理してみた

介護は突然始まる。そして予期せぬタイミングで老人ホームを探さなければいけない日が来ます。そんなとき、多種多様な老人ホームの中から自分に合う住まいをどうやって探せばいいのか。
今回は、そんな老人ホーム選びのポイントを解説します。

ホーム選びの条件は人それぞれ。ポイントはいくつもあり、優先順位の付け方などどうやって選べばいいか分からない!と思いますが、そもそもどんな条件なら入居したいか。今回は7つのポイントに焦点を当ててみます。

「おいおい、7つもあるのかよ…」と思わずお付き合いください笑

※ここでは便宜上、老人ホームや介護施設等を総称して「老人ホーム」と表記しています。

①入居の目的

そもそも何のために老人ホームに入るのか。
家庭の事情で一時的に任せたいため短期入居を検討する人もいれば、在宅介護が困難となり長期入居を検討する人もいます。家族の退院後に介護が必要となり、自宅介護は考えず最初から長期入居を検討を進める人もいます。

また、「特養の入居待ち」「退院後のリハビリ目的」「自宅のリフォームが終わるまで」などの理由で数か月だけ利用する方もいるでしょう。

主な入居形態は次の三つに分かれます。

  • 長期入居(終の棲家として入居したい)

  • 短期入居(ショートステイ)1日~30日以内

  • 中期入居(ミドルステイ)1ヶ月~数ヶ月 ※明確な定義なし

このように、短期から長期まで入居期間や目的はさまざま。それぞれ提供している施設も異なります。まずはどれくらいの期間入居する予定なのか明確にしましょう。

今回は、長期入居を前提に話を進めていきます。

②老人ホームにかかる費用

公的施設と民間施設で費用の仕組みが異なります。公的施設は「月額費用のみ」。民間施設はそれに加え「入居金」と呼ばれるまとまったお金が必要です。

1.入居金

入居金の額は、老人ホームの種類や立地、新築か改装物件か。設備やサービスによっても大きく変動します。また、入居金は、「家賃の前払い」という意味もあり、
予算を立てる際には、これらの費用を含めた入居費用を把握することが必要です。

2.月額費用

月額費用は、老人ホームの種類や立地、設備やサービス内容によって異なります。月額費用の内訳は「居住費(家賃)・管理費・食費」で構成されています。これ以外に水光熱費、介護保険の一割負担※、医療費などがかかります。
※原則一割負担だが高所得者は2~3割負担になる。

③エリアはどこで探す?

どのエリアで老人ホームを探せばいいのか。多くの場合次の3つになります。

  1. 高齢者がもともと住んでいた地域で探す

  2. 子どもの自宅付近に呼び寄せる

  3. 家族、親戚がアクセスしやすい中間地点

それぞれ簡単に解説します。

1.本人がもともと住んでいた地域で探す

入居する本人の希望で住み慣れた地域で探します。また、配偶者がいれば面会に行く頻度も高いことが予想され、自宅近くで探すことが現実的です。

2.子どもの自宅付近に呼び寄せる

子どもが遠方に住んでいる場合は、面会が一日がかりになる事もあります。その場合、実家ではなく子どもの自宅付近の老人ホームに呼び寄せることになります。

3.家族、親戚がアクセスしやすい中間地点

少数派になりますが、家族や親戚みんなが通いやすいように中間地点で探すこともあります。しかし、いざ入居すると面会頻度も人によってまちまちです。基本的に、契約書の「身元引受人」にサインをした人のアクセスを優先するケースが一般的です。

大まかなエリアが決まったら、「緑の多い住環境がいい」や「電車で30分圏内」「居室から海が見える施設」など、より細かい希望があれば出してみましょう。

④介護・医療体制

前回の記事にも書きましたが、老人ホームは高齢者なら誰でも入れるワケではありません。多くの老人ホームには入居条件があり、「65歳以上」で「要介護認定を受けている」状態でなければそもそも入居ができません。ほかにも、心身の状態によって入居の受け入れができない場合があります。

認知症の症状次第では入居を拒否されることも

認知症は加齢とともに発症確率が高まります。いまどき「認知症の方は入居できません」という老人ホームの方が少数派でしょう。しかし、歩き回りで他の入居者の居室にたびたび入ってしまう。暴言・暴力がある。自傷行為があり常時見守りが必要、といった場合は入居時は応相談となります。

医療行為に対応した施設は少なめ

また、インスリン注射や痰の吸引といった「医療的ケア」が必要な場合、対応できるい医療体制がなければ入居の受け入れができません。看護師や、研修を受けた介護福祉士が常勤し、対応可能な状態でなければ入居を断られることもあります。

⑤居室

老人ホームの居室は唯一のプライベート空間といえます。大半がワンルームのつくりで、居室面積も施設によってさまざまです。参考までに、主な介護施設の居室面積は次のような基準になっています。

  • 特別養護老人ホーム:10.65㎡以上

  • 有料老人ホーム:13㎡以上

  • サービス付き高齢者向け住宅:25㎡以上(条件を満たせば18㎡以上)

  • 認知症高齢者グループホーム:7.43㎡

出典:平成30年「社会福祉住居施設の設備基準」より

いかがでしょうか。特養の10.65㎡は、畳に換算すると5.8畳。「そんなに狭いの!?」と思うかもしれません。ここに介護ベッドや整理ダンスを設置するとなおさら狭く感じるでしょう。

しかし、一般の住宅選びと異なり、一概に広ければいいとも言えません。要介護者の入居を想定しているため、「手を伸ばせば物に触れる」くらいの距離の方が、かえって利便性が良い場合もあります。

また、標準的な設備は「介護ベッド、トイレ、洗面、照明、エアコン」です。居室面積に余裕がなければトイレは個室にはなく共用トイレを使用することになります。

⑥共有設備

老人ホームの共有設備として一般的なのは、食堂(兼機能訓練室)、浴室、理美容室、図書室、談話室などがあります。

価格帯が上がるとカラオケルーム、シアタールーム、カフェラウンジ、露天風呂、サウナ、プール、フィットネス、ビリヤードなど、共有設備やスペースが増える傾向にあります。

居室以外に「憩いの場」があると、引き込もりの抑止やスペースが広いことで気持ちにもゆとりが生まれます。また、他の入居者との交流機会にも繋がるので、“あるに越したことはない”と言えるでしょう。

その設備、本当に必要?

ただ、こうした設備は本当に必要なのか見極めが必要です。なぜなら、設備の維持管理にはコストがかかり、それらはすべて入居金や管理費に転嫁されるからです。

元気なうちは利用しても、要介護状態になると利用機会は減少するもの。大して利用しない共用設備にお金を払い続けるべきなのか?先を見据えて、本当に必要なのか見極めましょう。

⑦その他

最後に、個別の要望について少し書いてみます。

  • ペットと一緒に入居したい

  • 趣味を継続したい

  • 入居しながら仕事を続けたい

ペットと一緒に入居したい

近年、高齢者のペット飼育率の高まりに対応し「ペット入居可」の老人ホームが増加しています。さくらの里 山科のように、ペットと一緒に入居できる特養も注目されました。

ペット可施設を探すときは、将来的に飼育できなくなった時の事を想定しましょう。そもそも、ペット可としていても、「中型犬まで」など犬種やサイズによっては受け入れができないこともあります。

また、飼い主が要介護状態になり食事の準備などができなくなったり、散歩に行けなくなったりしたら施設側で対応できるのか。究極的には、飼い主が先に亡くなったら遺されたペットの面倒をみてもらえるのか。この点は運営会社によって対応がまちまちです。安心して入居するためにも納得できるまで確認しましょう。

趣味を継続したい

将棋、囲碁、麻雀、チェス、書道、華道、フラワーアレンジメント、家庭菜園、英会話、カラオケ、コーラス、映画、カメラ、楽器、脳トレなどなど。今まで続けていた趣味を続けたいという要望は当然あるかと思います。

多くの老人ホームではレクリエーションを毎日実施していますが、その内容は施設によって異なります。上にあげた内容をほとんど実施していない所もあります。入居する家族の生活が豊かになるように、生き甲斐は何か。どんな趣味をもっているのかを確認し、それが実現できる老人ホームを選ぶと生活の質は高まります。

入居しながら仕事を続けたい

少数派になりますが、現役の会社員/役員をしながら老人ホームに入居する人もいます。僕が過去に関わったケースでは、奥さまを亡くされた高齢男性が多い印象です。

まだ介護は不要だけど「一人で広い家に住むのは大変」「家事の一切をお願いしたい」「年齢を考慮すると一人暮らしより安心」などの理由で入居する方がいらっしゃいました。

実際、「入居時は自立」という条件の、自立型ホームと呼ばれる有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅もあります。週に2~4日出社して、休日は施設で趣味に没頭している方もいました。多様化する老人ホームの中には、こうした要望に応えられる所もあります。


7つのポイントについてざっくりと解説しました。最後にひとこと加えると、全ての希望条件に合致する施設はありません。

老人ホームに何を望むのか整理するためにも、希望条件を上げる作業は必要です。しかし、予算を優先すると場所が遠くなったり、その逆もしかり。そのため、希望条件に「ここだけは譲れない」という優先順位を付け、その希望が少しでも合致する施設を選んでみましょう。

そして、入居する家族の意向に沿うホームを探すためにも、日頃のコミュニケーションが不可欠です。

最後までお読みいただきありがとうございます!
次回もよろしくお願いいたします。

(TOP画像:UnsplashGeorg Arthur Pflueger

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