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パリの大学生活④ーフランスで学ぶアジア近代史ー

Bonjour!
今回はフランスの大学生活編第4弾。このシリーズは、他の投稿に比べていいね数や閲覧数が圧倒的に少ないのですが、「勉強」をしにフランスに留学しているということなので、めげずに書いていきます。笑

1月下旬から2学期が始まりましたが、前学期で取っていたHistoire contemporaine de l’Asie(アジア近代史)を今学期も続けて履修しています。フランスに来たんだからフランスのことを学びたい、というのが強かったので、正直留学前は、この授業を取るつもりは全くなかったんですが、日本に興味持ってそうな人がいっぱいいそう、友達できそう、みたいな理由で結局取りました(中にはすっごいマニアックなことまで知ってる人もいる、やっぱ歴オタってどこにでもいるんだ、と少し感心)。そして実際取ってみると、西欧視点で日本の動きを見ることができて面白い。

あとは先生も、授業に日本人の私がいることをとても喜んでくれていて(ソルボンヌにアジア人がいるなんて珍しいので尚更)、少しは貢献できるかなと思って、今学期も履修は継続しました。この授業の場合は、CMは全員一緒なんだけど、TDが2グループに分かれていて、人数の都合上、前学期と別のTDにしたら、(こういっちゃ良くないかもだけど)前のTDよりも雰囲気が良くて、割と気に入っています。

フランスの授業の構成についてはここから↓

ちなみに先生は、中華系シンガポール人で、英語中国語フランス語に加えてオランダ語も話せるらしい。彼女が話すフランス語には、変なアクセントとかイントネーションが全くなくて、密かに憧れの存在。フランス語やオランダ語ができると、特に植民地主義、帝国主義時代に関する文献のバラエティが広がるようで、歴史研究をするにあたってかなり役立つらしい。

今回のnoteの話題は、私がつい先日発表したプレゼンについて。プレゼンの内容は、先生が予め用意した20個くらいのテーマの中から、各自1つ選びます。「アジア」の歴史なので、もちろん日本だけでなく、インドや東南アジアについてのテーマも用意されています。

選んだテーマ

そして、今回私が選んだテーマが、Histoire, mémoire et récit : « viol de Nankin » en 1937でした。1937年に起こった「南京事件」についてです。授業に貢献するという点で日本に関するテーマが良かったこと(高校では日本史選択だったので知識は他のフランス人より多いはず…)、そして「南京事件」についてあまり深く知らなかったこと、の2つの理由でこのテーマを選びました。

日本の闇を学ぶこと

結論から述べると、このプレゼンの準備=母国の闇と向き合うことでした。

「南京事件」は、中国の反日思想を根拠づける歴史的事実の一つであり、日中間での外交関係が悪化する原因です。日本兵が南京市の市民を大量虐殺したという残虐な事件。中国が、南京陥落からたったの6週間で、日本軍が約30万人もの南京市民を虐殺した、と主張するのに対し、日本は外務省ホームページでも「被害者数は不明」と主張し続けている。高校の日本史の授業でもそんなに重要視されていた覚えはありません。

南京「事件」と呼ぶのもそう。こっちの授業では、massacre(大虐殺)か、viol(暴行)、どっちが適切だろうか、みたいな話をしてたんだけど、私が、「いやいや、日本語ではincident(事件)て言うよ〜」て言ったら、それは「流石にないだろwwおいおいwwww」みたいな感じでみんな苦笑い。

前に、ジャーナリズムの授業で(フランスの)、先生が「日本政府は南京に関する資料を隠してるんだよ」って言ってたことがあって、私は今まで日本は報道の自由が比較的保護されているのかなと思っていたから、嘘じゃない?とかって疑ってたけど笑、調べてみると日本はかなり右翼派の圧力が強いんだなって感じた。2019年に「表現の不自由展」が中止になったのはその代表例です。

日本の教科書に事件の詳細が書かれていないのは、自虐的な歴史教育は日本に対する愛国心を希薄にしてしまう、というような右翼派の理由が背景にあるみたいだけど、本当にそうかな?と思ってしまう。

第二次世界大戦で共に敗戦国であったドイツは、多くのユダヤ人を迫害した歴史があるわけだけど、ドイツ人はその事実をちゃんと知っているわけだし、それでも先進国として発達していて、なんならEUで過去の敵国とも今は仲良くしています。

それと比べると、日本は過去の過ちを省みずに、第二次世界大戦の話となると、原爆の被害者だと言いたがる(パールハーバーの日を知らない人も多いよネ)。日本の歴史修正主義は強すぎる。中国や韓国と歴史問題で揉めるのはこれが原因なわけだから、後世に過去の事実を正しく伝え、考えてもらうことは大切だと思う。

そういえば、歴史学部には、アジアから来た交換留学生が私と韓国の子しかいなくて(とは言ってもその子は半年で帰っちゃったから今は私1人泣)、留学最初の方に、その子とヨーロッパって羨ましいよね〜って話してたことがある。ヨーロッパではErasmusという制度で、大学間の交換留学や単位互換も容易にできるから、文化的にも政治的にも割と仲良くしてる印象がある。それに対して日韓は、K-POPが日本で人気だったり、漫画やアニメが韓国で流行ったり、文化的交流は発達しているのしても、外交面においては結局歴史問題で揉めるし、悲しいことだよねって。

フランスで日本人でいること

歴史学部に所属したことで1番実感してるのは、当たり前のことだけど、1つの歴史的事実を取っても、国や人によってその捉え方は多様で、教え方も国によって違うということ。日本では、第二次世界大戦中の日本は、結局「原爆の被害者」として描かれている側面が強いけど、フランスでは完全に「悪者」として教えられてる。それを知った上でも、日本文化のことを好きでいてくれて、私のことも気にかけてくれるのは、嬉しいことだなってつくづく思う。

この授業の先生はさっき書いたように、中華系シンガポール人で、先生のおじいちゃんは、まさに日中戦争時に中国に居たみたいで、日本のことが大嫌いらしい(胸部に当時の傷があるんだって)。先生が日本語を勉強したい!と言ったら、止められたくらい。でもそれに対して、そのおじいちゃんの兄弟は、戦争最中に熱を出した時、薬をくれたのが日本兵だったみたいで、もしそれがなかったら死んでいたかもしれないから、日本人には感謝しているみたい。

これを聞いて、日本の歴史をしっかり知ることの重要性と共に、自分がフランスで生きる日本人代表なんだという意識の重要性を感じました。周りのフランス人にとって日本人と会うのはなかなかない機会みたいだし、私1人で日本のイメージが左右されてしまうから。ずっと笑顔で話したり、授業も真面目にこなしたり。こないだ、私の母がフランスに来てくれた時に、お菓子をたくさん持ってきたから、このプレゼンの時間に抹茶のKitKatを配ったら、みんな喜んでくれてた。(そういや高校留学の時もこんなことばっかしてたな笑)

プレゼンを終えて

話はプレゼンに戻りますが、なんとなく今回のプレゼンは自分の中でもやり切った感がありました。

この授業を続けるにあたって、1学期より何か自分の中で成長していなければいけないなと思って、そこで、私がフランスにいる意味ってなんだろう?この授業にいる意味ってなんだろう?って考えていました。そこで思いついたのは、私が日本で受けてきた歴史教育がどういうものだったかをフランスの皆に伝えること。

フランスの大学のプレゼンというと、学術論文や本など文献を漁って、分析をするというのが多いけど、今回に関しては、自分の経験を混ぜてもいいのかなって思った。

そしてそれは見事に成功で笑、先生もproblématiqueの立て方、内容、構成って全部褒めてくれてすごく嬉しかった。あと、クラスの他の人達も、excellentでintéressantだったよって言ってくれて、尚更嬉しかったです。


こんなに長くてつまらない文章をここまで読んでくれたあなたは強者です。ぜひ、日本の歴史教育や日中関係について考えるきっかけになってくれればな〜と。

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