読書ときどき音楽も#18

「ミッキーのおしゃれ読本」久美沙織/めるへんめーかー(集英社文庫コバルトシリーズ)

 神保町の三省堂書店本店が改装のため閉店。このニュースを目にしたとき、子ども時代からの思い出の場所がまた一つ減ってしまうなあと感傷にひたりつつ、この連休中にも訪れて色々と目に焼き付け本も買った。
 さて、最初に連れてこられてからかれこれ35年は経過していて、買った本のことはほとんど覚えていないのに、1冊だけ強烈に覚えている本が今回取り上げる「ミッキーのおしゃれ読本」だけれど、どうして買ったことを
覚えているか、それは…作中に出てくる欧風菓子クドウの「エンガディナー」の写真に心奪われたからです。それまで書店に並んでいる「丘の家のミッキー」本編は知っていても一冊も読んでいなかったのであった…。いわゆる作品のガイドブックで登場人物の紹介やスピンオフ短編(こちらはいまだに単行本未収録)も2本入っていてファンブックの名にふさわしい本なのに、結局本編を読んだのは40過ぎての電子書籍という体たらく。
 この「おしゃれ読本」を手に取ったきっかけも多分背伸びして文庫本を読むのがかっこいいと思っていた小学生なので、自主探索時間(兄弟全員本屋が好きだったので30分程度放置してもらい一冊選んで買ってもらうというのがお約束だった)に文庫コーナーで適当に立ち読みし、お菓子に目が釘付けになってそのまま買ってもらって満足したのを覚えている。あとは短編のお寿司を食べる描写も繰り返し読んだ。恋焦がれた「エンガディナー」は20代の頃、念願をかなえ満足となりました。
 この本に限らず三省堂本店(や閉店したコミック高岡・書泉ブックマートも)の思い出はまだまだあるからじっくり感慨に浸ることにしますか。

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