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読んだ本についてゆるい感想や本にまつわる思い出を述べております。たまに音楽についても触…

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読んだ本についてゆるい感想や本にまつわる思い出を述べております。たまに音楽についても触れています。

最近の記事

読書ときどき音楽も#148

「最近のウェブ、広告で読みにくくないですか?」鈴木聖也(星海社新書)  自分がその昔インターネットの世界に足を踏み入れた頃は、テキストサイトから始まりそこから掲示板、ブログ、SNS、動画と一通り「情報を見る」楽しさを享受してきたが、広告はつきものであった。ここ最近は不況のせいか「広告うざいな」と思っても、タダで見ているので文句は言えないなと思っているがちょっとモヤモヤしている中でうってつけの新刊。  紙からウェブと記者や編集者としてずっと活躍している著者だけに読みやすくて面

    • 読書ときどき音楽も#147

      「この世の果てまで(原題:The End of the World)」シルビア・ディー作詞/アーサー・ケント作曲、歌スキータ・デイヴィス  前回取り上げた作品集のタイトルだけでなくきちんと作中でも原曲に触れていた曲で、そう言えば子どもの頃に車に乗るとテープの順番によってはよく聞いていてなじみのある曲(といっても当時はタイトルも歌詞の意味も当然知らずになんだか印象に残るなあと思っていた程度)だったことを思い出した。他にヘビロテだったのは小林旭の「熱き心に」だった。  大人にな

      • 読書ときどき音楽も#146

        「ジ エンド オブ ザ ワールド」那須正幹(ポプラ文庫)※電子版  20年以上前のネットととのつきあいが始まった時期によく見ていたのが「掲示板」で、昔の音楽や本について話題になっているスレッドをよく見ていた。  好きで見ていた中で子どもの頃読んでトラウマになった作品をあげていくといったスレッドで、その頃は入手困難だった「幸せな家族 そしてその頃はやった唄」と並んで印象に残っていたのが「六年目のクラス会」でネタバレにはなっていたものの気になり、それが「ズッコケ」シリーズの作者

        • 読書ときどき音楽も#145

          「警視庁地下割烹」田中啓文(角川文庫)  暇が出来ると書店で新刊ウオッチ。最近メガネを新調したおかげで紙も電子も読書がはかどる。そこで飛び込んできた帯の文句「刑事が板前に!?」につられて表紙を見ると女将と板前らしい人物が描かれていてタイトルが「警視庁地下割烹」である。著者名を確認し即座に納得。「漫才刑事」や「力士探偵シャーロック山」の作者だ。こんなの面白いに決まってるじゃないかと即決で購入。  警察官が板前という設定は大丈夫かと思っているとちゃんと調理師免許とふぐ免も取得し

        読書ときどき音楽も#148

          読書ときどき音楽も#144

          「農場の少年」ローラ・インガルス・ワイルダー/こだまともこ、渡辺南都子:訳(講談社)  「大草原の小さな家シリーズ」も6冊目。だけれど、この巻だけは主人公が変わる。「シルバー湖のほとりで」で唐突に登場したワイルダー兄弟の弟が主役。  なぜこの人物がクローズアップされるのかはこの段階では不明であるが、開拓民のインガルス家と違って経済的にも裕福な農家のワイルダー家の生活がメインの作品。肉体労働が厳しいせいもあるけれど料理の種類がとにかく豊富で量も多く、読んでいるだけで中年はお腹

          読書ときどき音楽も#144

          読書ときどき音楽も#143

          「シドロモドロ工作所のはじめてのお彫刻教室」田島享央己(河出書房新社)※新装版  先日、身内より「絶対気に入ると思う」ととあるXに投稿された画像を見せられた。そこには、きりっと鋭い眼光を放つ猫や鳩がキャッチャーをしているのに投球はなぜか下半身を直撃…あまりのシュールさに最初は「興味ないよ」と冷たくかわしたものの、数日後には他の絵を求めてXを検索しまくが肝心の作者名がうろ覚えだったため空振りに終わる日々。ようやく正しい作者名を教えてもらい、むさぼるように過去のポストから紹介さ

          読書ときどき音楽も#143

          読書ときどき音楽も#142

          「198Xのファミコン狂騒曲」塩崎剛三(SBクリエイティブ)  年代的にそうなのか、ここ最近は長らく続いた「昭和30年代」や「1970年代」ものが一通り落ち着いたのか、「1980年代」を振り返る企画が多くその時代を子どもとは言えリアルタイムで過ごした身としてはついつい反応してしまう上に、どっぷり親しんだエンタメだともう止まらない。  今回の著者は雑誌『ファミコン通信』の立ち上げから関わっただけあって購入前から期待が高かった。1980年代後半はファミコン全盛期で、関連書籍も多

          読書ときどき音楽も#142

          読書ときどき音楽も#141

          「大学教授こそこそ日記」多井学(三五館シンシャ)※電子版  ついつい読んでしまう「日記シリーズ」。刊行されたものはひとまず読んでいるが、大きく分けるとざっくり2つになる。「生活のためにしている仕事なので愛着が持てない上、内容もブラックすぎて、働いている中の人もすさみきっていて現実なのでラストがすっきりしない」か「仕事そのものは好きだが、時代の流れなど自分ではどうにもできない状況で淡々と仕事をこなしている」かである(個人の感想)。  この日記は後者で、かつ著者は本業でも著作が

          読書ときどき音楽も#141

          読書ときどき音楽も#140

          「長い冬 ローラ物語1」ローラ・インガルス・ワイルダー/谷口由美子:訳(岩波書店)  「大草原の小さな家」シリーズ第5弾。この話のみ講談社文庫版では翻訳されていないのと、時系列的に「シルバー湖のほとりで」の続きになるので本当は「農場の少年」を先に読むのだろうけれど、個人的趣味でこっちを先に読むことにした。あとは、タイトルで想像がつくように(何せ原題もそのままの「The Long Winter」だ)シリーズ一過酷な舞台となるため、間違っても冬に読みたくないなあと思っていたので

          読書ときどき音楽も#140

          読書ときどき音楽も#139(2024.8.29)

          「エンジョイこの世」林雄司(デイリーポータル株式会社)※同人誌  ここ数年、ちょっとしたきっかけがあってコミケ以外の同人誌即売会に足を運ぶ機会が増え、あらたな同人誌との出会いもあるのだが、ついつい時間差で著者だったり、新刊が遅れて販売されるという事態があると泣く泣くあきらめることが良くある。単純に体力的な問題なので飲まず食わずで長時間うろうろするのがだんだん耐えられなくなったのが大きな理由である。ああ、年は取りたくない。  それでも神様はいるもので、そのあきらめた同人誌を買

          読書ときどき音楽も#139(2024.8.29)

          読書ときどき音楽も#138

          「コンビニオーナーぎりぎり日記」仁科充乃(三五館シンシャ)※電子版  新作が出るたび(正確にはセールになるたび)、必ず購入する「日記シリーズ」。実は一度セールになった時期にうっかり購入しそびれ、あげくにはその後の単行本の方が先にセールやポイント増で出てきて先に買ってしまったが、「シリーズ物は順番に読む(一部例外あり)」をモットーとしているため手に入れるまでは他の書籍も読めずどうなることやらと思っていたが無事再度セールとなったので購入し、早速読む。  いままでの「お仕事先」は

          読書ときどき音楽も#138

          読書ときどき音楽も#137

          「ネットはなぜいつも揉めているのか」津田正太郎(ちくまプリマー新書)  「炎上」は絶対にしたくないけれど気になってしまうので昔から関連書籍を読んだりするのが好きだった。言葉は悪いが「野次馬的興味」で、流行っていた時に結構買い集めて読み、「うわあ、馬鹿なことしてるなあ」という感情で面白く読んでいたのであった。さすがに自分も年をとり、更にここ数年は炎上自体も特殊な事例でなくなったのと、痛ましい結末になることも増えているので昔ほど無責任にまとめている書籍は激減してしまい、これはこ

          読書ときどき音楽も#137

          読書ときどき音楽も#136

          「日本ご当地チェーン大全」タツミムック(辰巳出版)  どんどん物理的なスペース圧迫&非力になったことで重い本を持ち歩くのが面倒になるといった理由で文章・漫画問わずに電子に移行しつつある読書環境であるが(ただ、老眼は紙・電子どちらにも優しくない)、見かけると重くてもついつい買ってしまうジャンルはある。この「タツミムックシリーズ」は好きなレーベルで今までにも懐かし系・実録事件系・お色気系と何冊か所持しているのだけれど、発売前から楽しみだった「ローカルグルメ系」だけに発売日をわく

          読書ときどき音楽も#136

          読書ときどき音楽も#135

          「シルバー湖のほとりで」ローラ・インガルス・ワイルダー/こだまともこ、渡辺南都子:訳(講談社)  「大草原の小さな家」シリーズ第4弾。ここからは未読なので、ひたすら読み進める。今までの3作は1年単位の生活をじっくり描写している感じがしたけれど、冒頭から病によりインガルス家が悲惨な目に合うところ(おそらく姉妹で一番美しかったメアリーの不幸がとにかく気の毒)から始まり、また前作から数年経過していることもありローラが一気に大人になってしまっていてほのぼのしたおとぎ話のような生活は

          読書ときどき音楽も#135

          読書ときどき音楽も#134

          「ひきこもり処世術」カレー沢薫(講談社)  新刊が出たと聞けば、形式を問わず買う推しの作者の新刊。しかもいきなり文庫。こうなると昨今の出版業界の厳しさがひしひしと伝わるが、賢くない消費者としては「安く買える」のは少し嬉しいので、さっそく通勤のお供で読み進める。  いわゆる「コロナ禍」の真っ盛りに綴られたコラムであるので、少し時のたった現在から読むと、「こんなことしてたなあ」とか「不安だらけだったなあ」と懐かしく感じる部分も。個人的にも緊急事態宣言中の不安だった時期を思い出し

          読書ときどき音楽も#134

          読書ときどき音楽も#133

          「ジョン、全裸同盟へ行く」北原尚彦(早川書房)※電子版  昨年、Kindle書籍半額セールをきっかけに「シャーロック・ホームズ」シリーズを読破したことで一番良かったことは、「オマージュやパロディがより面白くなること」であった。それは、好きな作品である「力士探偵シャーロック山」をシリーズ未読と読破した後では、まっさらな状態でももちろん面白いけれど、「こんなところを原作通りにやるなよ」と突っ込みができる分面白さに深みが出てきたのを実感した。  この作品も当然セール期間でダウンロ

          読書ときどき音楽も#133