読書ときどき音楽も#128

「現代語訳 豆腐百珍」何必醇/福田浩:訳(中公文庫)

 漫画や小説などで引用されていて、タイトルと何が書かれているかはなんとなく分かっていても読んだことがない本。自分にとってそんな位置にあった「豆腐百珍」。最近文庫として登場したので思わず購入。もちろん、この書籍のことを知ったのは漫画『美味しんぼ』である。さすがに当時は豆腐について思い入れはなく、読み飛ばすだけであったが年を取った分豆腐に対する感情も変わってきたので本当に豆腐でこんなにたくさんのレシピがあるのかと興味津々で読み進める。
 江戸時代のベストセラーというのは伊達ではなく、収録されているのは「豆腐百珍」「豆腐百珍続編」「豆腐百珍余禄」と盛りだくさん。料理も6つにランク分けされているなどまとめた著者の本気を感じる。レシピとはいっても分量も作り方も細かいものはない。ただ、火加減も調節できず冷蔵庫も当然ない時代でいろいろな豆腐料理があったかと思うと面白い。引用されているイラストもヘタウマ的で味があって面白い。個人的には「美味しんぼ」でも触れた「阿漕田楽」は作りたくはないけれど食べてみたくなった。あとは「豆腐を松茸と煮る」といった豆腐雑話が面白い。今じゃ絶対に再現しない料理であることも含めて当時は取れてたんだなあと改めて思ってしまった。

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