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【創作】プレゼント④


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■2013年3月18日
髪を染めるのが大好きなユミちゃんは美容師さんとして働き始めました。
パパとママの元から離れて今日から1人暮らしです。
ママはとても心配して「いつでも帰ってきていいからね。」と言ってくれました。
パパは何もしゃべりませんでしたが、心の中ではユミちゃんをとても心配していました。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇


そうだ、そうだった。
私は【髪を染めたいから】という単純な理由で美容師の仕事を選んだ。
最初はとにかく雑用ばかりで、この仕事を選んだことをすぐに後悔した。
それでもお店が閉まってから同期のみんなで毎日夜遅くまでカットの練習したっけな。
本当にきつくて何度もくじけそうになった。でも大好きだった、美容師という仕事が。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇

■2016年9月10日
ユミちゃんはコウタ君と初めて手を繋ぎました。
ユミちゃんは彼が大好きでした。彼もユミちゃんが大好きでした。
二人は幸せでした。
パパもママも二人の幸せを願っていました。

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コウタはお店の常連さんだった。
私が初めてカットしたお客さんがコウタだった。
いつも優しくて笑っている彼が大好きだった。
彼の笑顔を思い出すと胸が苦しくなった。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇

■2017年8月20日
漁に出たユミちゃんのパパは船の上で転んでしまいました。
ユミちゃんのパパは車椅子に乗る事になりました。
パパもママもユミちゃんに心配かけまいとその事をユミちゃんに黙っていました。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇


時化しけの日に父が足を取られて船上で転倒した。
幸いにも命には別条はなかったが打ち所が悪く車椅子での生活を余儀なくされた。
この事を父も母も私には話さず、私が知ったのは母が倒れた後だった。

ページをめくる手が止まった。
手にジワリと汗をかいているのが分かる。
胸の中の黒いみがどんどんと広がっていくような感覚を覚えて苦しくなる。

この先を読む必要があるのだろうか。
ここから私の辛い人生が始まることは私自身が1番良く分かっていた。


「もういいよね…もうこれ以上は読めない…」


私は一人呟いて本を閉じようとしたその時だった。
少年の言葉が聞こえた気がした。


「だから僕がここにいるんです。あなたを助けるために。あなたに物語を届けるために。それじゃ、これをちゃんと読んでおいてね。」


少年は私を助けるためにここにいると言った。
私に【物語】を届けるためにここにいると言った。
あの時の少年の目に嘘はないように思えた。

私は少年を信じてみようと思った。
止まっていた手に力を込めてページをめくった。


(つづく)


※原作:BUMP OF CHICKEN プレゼント

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ゴールデンウィーク中に完結を目指しております。
お休み中の暇つぶしになれば幸いです。



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