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推しは誰だ

僕はアップルウォッチを持っているのですが、「何に役立つの?」と聞かれると「…時間が分かる」としか答える事が出来ず多分日本一アップルウォッチを活用していない男だと思います。#あとかっこいい

こんにちは、コッシーです。


さて、どのサービス業にも通じることですが、お客様に対して公平なサービスを心がけることが大切だと言われます。あまりに度を超えた態度やマナーの悪い方は別ですが、たとえ嫌な客であっても他のお客様と同じ水準のサービスを提供するのが基本だと思われます。

介護事業もサービス業であるため基本的には同じような考え方で介護サービスの提供をされているかと思います。

当然、うちの事業所もそのような考えで運営をしており、仮に横柄な態度を取る利用者がいたとしても笑顔で対応するよう心掛けています。

僕の尊敬する人が【利用者に罪はない】と言っていました。正にその通りだと思います。本当の意味で望んで介護サービスを利用される方はいません。苦悩を抱えながら仕方なく介護サービスを受ける利用者が不平不満を言うのを当然だと思います。きちんと利用者の想いに沿ってサービス提供してこそプロだと思います。

基本的にどなたにも公平にサービスを提供するようにしていますが、そうは言っても介護者もやはり人間です。利用者から優しくされれば嬉しいですし、「ありがとう」と笑顔で言ってもらえると幸せになります。

そういう利用者を可愛いと思うのは至極当然なわけで、より好きになる利用者は存在するのです。つまり【推し利用者】です。


うちの入居施設には二人の女性入居者がスタッフの人気を二分しています。

1人目が94歳最高齢のMさん。Mさんは本当に穏やかな方で何事にも動じない包み込むような優しさがあります。戦後を生き抜いてきたからか自分を抑え少しくらいの痛みなら訴えたりしません。そこも意地らしく僕らの心を擽ります。

トラブル等がありその対処に時間がかかりMさんへのサービス提供が遅れた時にも、「私はいいのよ。ゆっくりやってちょうだい」と言ってくれます。どんな事も許してくれるような寛大さはまるで聖母のような方です。Mさんは僕の過去記事に登場しておりますので良かったら探してみてください(^^)


もう一人がTさんという入居者です。Tさんは底抜けに明るくて笑っていない顔を見たことがないくらいいつも笑顔です。Tさんは認知症を患っており短期記憶に障害あるため物事をすぐに忘れてしまいます。ご自分でもその事を認識していますが、「ボケてきちゃったわ(笑)」とその事さえ持ち前明るさで笑い飛ばします。

その明るさは場を和ませてくれるため、他の入居者からの人気も高く、以前に食堂の席替えをしたときには他の方から「Tさんと同じテーブルにして欲しい」という要望が数件あったほどで、その笑顔でみんなを照らしてくれるTさんはまるで太陽のような方です。


先日、スタッフ間でそんなお二人のどちらが【推し】かという話になりました。全てを優しく包み込んでくれる聖母Mさんか、持ち前の明るさから周囲を笑顔にしてくれる太陽Tさんか、本当に迷うところです。

「うーん…私はMさんかなぁ」「私はやっぱりTさん」とスタッフが選んでいく中、お二人ともそれぞれ違った良さがあり、どちらか一方を選択するのは至難の業であり僕には出来ませんでした。

「僕は…二人を推します(笑)」とスタッフ達に言って「ずるい!」「それは反則だわー」とキャッキャッ言いながらこのお話は終わりました。#いや呑み会か


ところで、話は全然変わるんですが、先日髪を切りました。

お前が髪を切ったからなんなんだと思われると思います。ご存知の方もいると思いますが、実は僕はロン毛でしてその辺りの理由に関しては以前の記事で書かせていただいたので興味ある方はご確認ください。

で、久しぶりに結構切ったんです。まぁ結構と言いましてもバッサリと短くしたわけではなく、肩上辺りだったのがボブくらいになった感じです。

画像で表すとこんな感じです。

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※顔は無視してください

「いや全然切ってないじゃん!」と思う方もいるかもしれませんが、僕としては結構バッサリいったつもりでして、次の日に会社に行くのを結構ドキドキしていたんです。

「多分、みんなに弄られちゃうなー。午前中はきっとその話題で持ちきりだなー。忙しいのになー。困っちゃうなー。」と思っていたんですが、誰1人僕の髪に関して聞いてくる人はいませんでした。

あれ?みんな忙しいのかな…?としばらく待ってみたんですが、待てど暮らせど誰も声をかけてくれません。

結局誰にも声をかけてもらえないまま午前中を終えました。その日もしかして何らかの拍子に集団で視力低下になっていたかもしれません。昼休憩の際に意を決しスタッフに聞いてみました。

「あの…髪切ったんだけど分かるかな…」

「見れば分かりますよ」

え?分かるのに何も言わないとかあるの?もしかして僕嫌われてる?と思ったんですが、どうやら皆さんからするとそんなに変わってないみたいで、まぁ要するにどうでもいい事ってことですね、はい。#人は意外と人の髪型に興味ない

「次はもっと短くしてください」なんて言われながら僕の髪型の話を終了したかに見えましたが、そんな中たった1人だけ僕が髪を切ったことに気付いた方がいました。

Tさんでした。

「あら。髪型変わったね。素敵よ」と声をかけてくれました。

「うそ!?分かるのTさん!?そう…そうなんだよ!変わったんだよ!切ったんだよ!」

認知症なのに覚えているなんてすごい!Tさんはやっぱり太陽みたいな人だ!

「でもよく覚えていたねTさん。」

「ええ、前はもっとこう…なんていうか…落ち武者みたいだったね」

お、落ち武者かぁ……。

でも落ち武者でも良いんです!僕の変化に気付いてくれたんですから!それだけで僕は幸せです。


今、もし【推し】を聞かれたとしたら僕は間違いなくTさんを選ぶと思います。あ、でも落ち武者はちょっと傷ついたのでやっぱりお二人を【推し】とします。


現場からは以上です。それではまた。

コッシー

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