見出し画像

初めての靖国参拝

一年に数回東京に出張しても、観光地っぽいところに立ち寄ったことがありませんでした。ただ靖国神社には一度行ってみたかったので、たまたま近くで仕事が終わった16時ごろ入ってみました。

巨大な鳥居と圧倒的な広さ、建築の美しさと見事に手入れされたイチョウの木々があまりに調和していて、それだけで荘厳な気持ちになります。

閉館時間まであと1時間を切っていたものの、博物館が好きな私としては併設の遊就館にどうしても行ってみたく急ぎ足で回ってきました。

・・・なんというか、これが「靖国史観」と呼ばれるやつなのかー!と感動にも似た驚きを覚えました。
特に、大東亜戦争の映像では、で「ロシアの南下政策に大勝を果たした!!そしてその勝利は当時の植民地下にあったアジアの国民の希望と喜びにもなりました!」みたいなナレーションが流れたりして、まじでおったまげです。

私たち夫婦はちょうど今年はじめにマレーシアに滞在しており、その際にマレーシア国立博物館に見学へ行きました。そこでは日本統治時代は厳しい時代として記録されており、華僑への虐殺など現地の人から見ても「欧米列強からアジアを解放する日本軍」というのは虫が良すぎる解釈だと言えそうです。

こうやって、それぞれの国で異なる歴史認識や歴史観を学ぶことで、「戦争が終わって何十年も経ってんのに、なんでこんなに反日感情とか言ってんのか」とか、「首相の靖国参拝って何が問題なのか」とかを頭だけじゃなくて、体感として理解できた気がします。なんか腹落ちしたというか。

戦後の日本で教育を受けた身としては、結構中道左派な教えが多く、戦争に関しても「国民が犠牲者」「アメリカに原爆落とされた被害者」「自国民をこれほど犠牲にした戦争はもう2度と起こさない」といった教育や報道が多すぎて、自国の侵略については正当化をした考えがあることすら知らない人も多いんじゃないでしょうか。

私自身、展示を見て初めて「こういうことを右翼の人たちは言ってんのか」と思えた部分もあり、今後真っ黒な街宣車を見た時の印象が変わりそうな気もします。(思想にはまったく共感できないけど)

そんなこんなで、展示の内容はアジアの人々が目にすると怒りたくなるような内容もあったし、展示自体英語表記が少なく、私が今まで旅行した国で見てきた同規模の博物館で一番ドメスティックな博物館(資料館)でした。
自国が他国に対してどう振る舞ったか、どんな歴史認識であるか、について他国に知らしめる必要はないけど、譲れない主張がある。そんな印象を受けました。

閉館前の入館で、1時間しか居られませんでしたが、それでも遊就館を出た後は日没直後だったのか、うっすらとピンクとプルーが混じった妖艶な空に浮かぶ鳥居と本殿が心を掴んで離さず、しばらくぼーっとしてしまいました。

このえも言われぬ感情が、普段は全く意識することのない日本人のアイデンティティを呼び起こしたような、妙に背筋が伸びる師走の初体験でした。

いやー非常に勉強になったのでまた来年行きたいと思います。

すちゃ!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?