見出し画像

娯楽に没入する健康要件

はじめてのメンタルクリニックで私は無事に抗精神病薬を処方され、その日の夜に服薬したら、翌朝体調が良くなっていた。この薬の効果が現れるのは内服開始後2週間らしいので、即効したのは私自身の思い込みパワーなのかもしれない。おめでたい人間だ。バイトを10連休にしてたっぷり昼寝していた影響もあるかもしれない。毎日ヒマとは素晴らしい。

薬が効いてから頭の重さや猛烈な眠気がなくなり、気分は正寄りの平坦で、やたらHAPPYになったりやる気がみなぎったりもしていない。平然とのんびりしている。ちょっと気持ちが昂る出来事はあったが30分くらいで平常モードへと引き戻された。テンションが無駄に高くなりすぎないよう何かに抑えられているようだった。不快ではなかった。落ちる波も抑えられていると思う。「生きる意味がわからない」とか「私は無能だ」とか「孤独でつらい」という鬱恒例の負の想念がそもそも湧いてこない。楽しいことはちゃんと楽しいと感じる。快適。

昨日はなんとなく読み始めた恋愛漫画が胸に刺さり、鼓動を強く打つ高揚感を味わった。少し前まで「ちいかわ」しか読めなかったメンタルが、ちいかわ以外の漫画を面白がれる状態にまで復活した。(逆にちいかわはどんなメンタルでも読めるからすごい。)鬱っぽかったときは恋愛漫画なんて視界にすら入らなかった。別の好きな漫画の連載は追っていたが、難しくて考察する余裕がなかった。

鬱で渇く心が追い求めたものは漫画ではなく、自身の精神的健康に関わる実際的な知識だけだった。フィクションの世界を楽しむ以前に目の前の苦痛を和らげたかった。だから体調が回復してみて、ある程度複雑な娯楽作品を楽しむにはまず健康な心と脳のエネルギーが充分に必要なのだと強く実感した。

まだほんの少ししかこのフラットな健康状態を維持していないのに、こんなに浮かれたことを書いて大丈夫かなという若干の不安はある。労働生活が再開したらまた情緒不安定になるかもしれない。(追記: 連休中にもう不安定になった)

ただ病院に行く前に懸念していたことは大体杞憂だった。「あなたは病気ではありません、努力できない言い訳をしているだけです」なんて言われたらどうしようなどと思っていたが、精神科の先生はむしろ私の不調を気遣ってくれた。保険診療で自分に合う薬を見つけるには手当たり次第いろんな薬を試すしかなく数年かかる人もいると聞いていたが、私はあっさり合う薬を見つけられた(これがプラセボ効果でなければ!)
なんだ、こんなことなら早く病院に行けばよかったと思う。しかし、苦しんだ時期に精神疾患について情報収集した経緯があったからこそ病識がつき、プラセボ効果だとしてもすんなり回復できたのかもしれない。なるべくしてこうなっているのだろう。

せっかく娯楽を楽しめるメンタルになったので、ヒマなうちに思う存分好きなことを楽しもうと思う。やる気をみなぎらせるとあとで鬱の波が来るから、あくまでのんびりと……。

追記(2024/5/8)
軽躁は4日も持たなかった。調子が良いときこそ口を慎むべきかもしれない。どうせすぐへばるのだから。私の場合は文章は軽い鬱のときに書くくらいがちょうどいい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?