はぐくみ・うまれ・そだつ No.5"命の重さ"
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突然の腹痛で目が覚めた私は同じ部屋で小さく丸まって眠っていたパパさんを呼んだ。ただごとでない私の様子に驚くパパさん。急いで母をおこしに行った。母の指示のもと急いで産院へ連絡。すぐに産院へ行くことに。到着後、すぐに内診。原因はわからないが子宮口が4センチ開き陣痛も来ている状況。
妊娠24週・・・。先生はパパさんに高度医療センターに搬送をするか否かを家族で話し合ってほしいと伝えた。
その時の私は痛みで何も考えられず、ただお腹の赤ちゃんを助けてほしいと願うばかり。
父とパパさんで話し合いがされた。それは長い時間に感じられた。父は一番最初の子を早産で亡くしていた。それ故、今の状況が痛いほどわかった。
パパさんは様々なことを考えていた。高度医療センターに行けば助かるかもしれない。けれど先生の話だと心臓など毎年手術は避けられない。様々なリスクをその子に背負わせることになる。親のエゴなのか?もうすでに一人目の子がいるんだから欲張ることはない?上の子がかわいそう?頭の中はぐるぐるに。
そしてパパさんは決断した。「妻の命を最優先でお願いします。ここでの出産を希望します。」
その決定を聞かされた時、私は絶望した。今ならパパさんたちがどんな思いで決定したかは理解ができる。無理矢理に命をつなぎとめて、手術の連続ということばと五体満足でないと育てられないのではないかという不安に耐えきれなかったのだ。
そんな中、どんどん強くなる陣痛の波・・・。
助産師さんが私の体をさすりながら私の話を聞いてくれた。
「昨日、夫と大喧嘩したから・・・私が怒りすぎたからこんなことになっちゃったんだ・・・。」と泣きじゃくる私に、
助産師さんは、「陣痛ってね、おなかの赤ちゃんが出してきたサインによって始まるの。だからお腹の子の意思なのよ・・・。この子はなぜだかわからないけど、今日この世界に出るって決めたんだろうね。」と言いながら私をさすり続けてくれた。
出産=赤ちゃんの死。
これほど辛いことはなかった。モニターから聞こえる赤ちゃんの元気な心音。でもお腹の外に出てしまえば…あまりに未熟な体。一生懸命、陣痛に耐えた赤ちゃんは呼吸をしていなかった。心臓は動いていたが、しばらくするとその動きは・・・止まった。
「男の子だったね」と、助産師さんの言葉に私は我に返る。
パパさんは膝から崩れ落ちた。妊娠中、「上の子の時も思ったけど女の子がいいなぁ、男の子だったらほかる(捨てる)」と冗談紛れに言ってよく私の母に叱られていました。その言葉に一番後悔していた。
次につづく・・・
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