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自己分析はハードルが高すぎ、自分の属性・武器の整理で十分

自己分析、なんとなく耳障りがよく、大切そうに聞こえるワードである。
古くから就職活動を語る上で、この作業は重くのしかかる。
“なぜなぜノート”を作りましたという古典的な方法がよく使われていて、
これがノウハウとして洗練され、確立されたのが前田裕二さんベストセラーである「メモの魔力」であろう。

正直、私はこの自己分析ができなかった。
そこまで誠意をもって自分に向きあうことができなかったのだ。
まずは自分の思い込みが捨てられなかった。21年間、内面から見てきた自分については既にイメージができており、
それを考え込んだところで、変化するとは思えなかったのだ。
次に、世の中の就活本で語られる「自分が本当は何がしたいのかにたどり着く」というのはハードルが高すぎた。
世の中には「やってみないとわからない」ということが多い中で、まだ社会に出て働いたこともない学生に机上の分析だけで何に向いているかを導き出したところで、正解率は低いのだ。

じゃあやらなくていいのか。
答えはNO、自己分析は必要である。
ここでいつも立ち返ってほしいのは、どうやったら内定をもらえるかだ。
面接で認められれば、内定はもらえるわけだが、そこにたどり着くための努力として、
エントリーシートや自己分析は存在する。
逆に言うと、素晴らしいエントリーシートを書いたり、自己分析をしたところで、面接がうまくいかなければ内定はどこからももらえない。
だから、面接で好印象を獲得するための戦術として、自己分析を始めてほしい。世に溢れた哲学的な自己分析ではない、あくまで面接のための戦術である。

面接での好印象とは何か、究極は「話を聞いて納得感があるかないか」だ。
「わ、私はコ、コ、コミュニケーション能力があるタイプだと思います。」
このガチガチに緊張した人のカミカミコメントがいい例だ。こんな人からコミュニケーション能力をアピールされても、
面接官には全く響かないのである。なぜなら「納得感がないから」ということに尽きる。

「自分が話している中で醸し出される雰囲気がどんなものか」を知ることが自己分析のGOALだ。
私は(残念ながら)「堅実・真面目」といったイメージは持たれたことがない。
もし、背伸びをして自己PRで「堅実・真面目」をアピールしていたら、どうなっていただろう。
おそらく就職活動は思うような結果になっていなかっただろう。
醸し出す雰囲気と自己PRの内容とに違和感があり、面接官からすると納得感がないからだ。
では「明るくて、元気で、前向き」、これをアピールするためにどんな話をすればいいか。
そのまま「私は元気で、前向きです!」と言葉にしてしまうと、とても伝わり方がチープになってしまう。
だから私はエピソードに「路上ライブでの経験」を選んだ。
路上ライブというエピソード自体が元気で前向きなキャラと結びつくし、それを面接で語る私にも活力がみなぎっていたはずである。

今の会社から内定をもらった際にひとつの質問をした。
 私 「自分のどんな部分を評価していただいたのでしょうか」
 人事部 「明るくて、さわやかで、おっさんウケよさそうなところ」
ふざけたようなやり取りだが、私には最大の誉め言葉であった。
なぜなら、自分が最大限アピールしてきたポイントを満額評価してもらったからだ。
例えるなら自分が心臓をねらって放った刃が、きちんと心臓を貫いたことに他ならない。(=自分の実力と行動で得た結果)
たまたま、横から飛んできた流れ弾に当たって死んだわけではないのだ。(=自分の実力ではないということ)

どんな特徴をアピールすれば、納得感を持って面接官に聞いてもらえるだろうか?
こう考えて、ざっくりとした自分が醸し出す雰囲気を知ること、つまり自分の属性を理解することがGOALであれば、思ったより大変な作業ではないだろう。
 明るいか、暗いか。
 積極的か消極的か。
 真面目で実直タイプか好奇心旺盛タイプか。
 頭脳派か筋肉派か。
 理論派か感性派か。
 主役タイプか脇役タイプか。
 引っ張るタイプか支えるタイプか。
この程度の2択問題に答えられるだけで十分だ。

重要なのは、上記特性を面接官に納得感を持って理解してもらうためのエピソードを考えることである。
このエピソードこそが「自己PR」であり、面接における武器だ。

この武器が面接官に刺さって、「納得感と好感」というダメージを与えられれば内定にはぐっと近づく。

属性探しと武器探しは、行ったり来たりすることになる。
属性を見極めるためには、自分の過去のエピソード(武器)の裏付けが必要だし、
武器を選ぶにあたっては、属性の裏付けが必要となる。
結局、世の中にある自己分析と同じような作業となるが、ポイントは「自分が何に向いているか、何をしたいのか」など、
未知の領域の“未来予測”にまで及ばせないことである。

未知の領域はGOALが遠いため、やり切れないし、GOALに達しても「本当にこれでいいのかな?」と不安になる。
自己PRを作る作業の前段で、ざっくりと属性と武器を整理しようという軽い気持ちで初めてほしい。

大丈夫。このレベルでもきちんとできている人はほとんどいない。

明日は「受験勉強をしていた自分と就職活動していた自分を比較しろ」というテーマでお話したい。

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