S022/相談員が相談してわかったこと。

わたしは相談支援専門員の立場を活用しながら、仕事をしています。

相談支援専門員は、障がいのある方がサービスを利用する際の支援計画を立て、サービスの説明をしたり、そのサービスを提供する事業所とのマッチングをしたり、目標と現状が合っているのか確認したり、計画を見直したりするのが仕事です。

わたしの場合は、直接サービスとは関係ないこと、たとえば、学校内の困りごとなどにも口を出して、あれこれつないだり、面談に同席したりしてしまいます。
でも、これはすべての相談支援専門員がしているわけではなくて、相談支援事業所の考え方や、相談員さん自身の仕事の仕方によって、どこまで関わるかは変わってきます。

当事者の方やご家族が、この人には何でも話していいんだ、と思えるように、わたしも自分のことを話します。
少しずつお互いのことを知っていく過程で、信頼関係が高まっていく。
信頼関係ができていくと、本当にこの目標でいいのか。
また、目標に向かう道ってこの方法だけじゃないんじゃないか。
今ある以外の資源を利用する可能性があるんじゃないか。
そういうことを、正直に話し合えるようになっていく気がします。

そういう相談員の私も、子どものことで悩むことがあります。
この冬、思い切って相談機関に出向いて話してきました。

わたしが出向いたのは、大田原市の教育支援センターです。
ここは、不登校やいじめなど、学校での課題に向き合っているお子さんやご家族が相談できる機関で、同じ建物内に適応指導教室も設置されています。

昨年度のことですが、小学生の息子が学校の先生のことで悩みを抱えていました。
大好きだった担任の先生が産休に入った秋、少し苦手な先生が担任になり、もっと苦手な先生が教科担任として多くの授業を受け持つことになりました。学校行きたくない気持ちが高まって、「○○は考え方が古いんだよ。児童の話を全く聞かないで、自分が先生だからって自分の話だけ聞けっていうのは不公平だ!」と怒る。

その先生の嫌な言動は、息子に限ってあるわけではなく、息子は他の子が不適切に関わられているのを見聞きするのにも腹を立てている。息子に思いやりや公平を求める気持ちが育っているのは母としてはとてもうれしいことでした。

それ以前、茶化されてしまってうまく関われていなかった友だちとは、反○○先生同盟みたいなところで結束して、助け合う仲間になったようだ。
だから悪いことばかりじゃない。

そうかそうか、それはイヤだよね。
でも、残念だけど、理不尽なことって、これからもあるからな。
苦手な人と折り合いつけていくための練習かもしれないよ?
そう言って受け止めて(お茶を濁して)きました。

学童に迎えに行った帰りには、息子から今日の○○先生のウザい情報をお届けする「ウザーニュース!」が発表される。
このニュースのウザさには、大人の私も唸るほど。

今日は○○先生はどんな攻め方してくるかな?予想の通りだったら1UP!というゲームにしてなんとか乗り切ろう、なんて提案もして、ダンジョン攻略しよう!なんて気持ちの切り替えを図ってみたけど息子は全然落ち着かない。

ある晩、キッチンカウンターでうつむいて大粒の涙をこぼしながら、

「相談員さん、何とかしてください。お願いしますよ・・・」

うわぁ、息子にそう言われちゃうと、やっぱり何か動かなきゃ。

「学校のトラブルの相談に乗ってくれるところがあるけど、行ってみる?」
息子は少し考えて、「行ってみたい。とにかく、現状を変えるために何かしたい」と答えました。

相談業務で出会うお母さんたちは、学校に何か改善してほしいことや要望を伝えようとするときに、尻込みしてしまう方もいます。
波風立てたくない、大事にしたくない、とか。
大丈夫ですよ、一緒に伝えましょう、当然の権利だから!
そんな風に背中を押してきたけれど、実際自分の番になってみるとやっぱりちょっと緊張するもんですね。

ここから先は

1,499字

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?