ゴブリンの死体の山の上で

グラートの剣が、見張りのゴブリンを斬り倒した。
とっさに呼び笛を取り出したもう一匹のゴブリンの喉笛を、マクギリスの細剣が貫く。
茂みが洞窟近くまで続いていて良かったと、マクギリスは思った。
でなければ、増援を呼ばれて面倒な事になっただろう。

グラートが剣を納め、キードの枝に火をつける。
キードの枝は火が付くと多量の煙を吐き出す木材で、小指ほどの長さで狼煙が上がるほどの煙を出す。
グラートはそれをゴブリンの洞窟のそばで焚きだしたのだ。
「おい、中にまだ冒険者が…」
「問題ない」
グラートは火の付いた枝を洞窟の中に放り込み、淀んだ目で言った。
見る見るうちに、洞窟の中に煙が充満する。
「行方不明から1週間、全員女。腹に何を抱えているか分かるか?」
「それは…」
グラートは剣を抜いて、洞窟から飛び出してきたゴブリンに向かい合う。
「奴らは全て殺す。この世界に生まれ出る前から、根絶してやる」

【続く】

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