罪人狩人と金鱗を持つドラゴン

目の前でバカの首がすっ飛んだ。俺はロングソードを肩に担いでごきげんだった。
今日の飯の種は、盗賊ギルドの金を持ち逃げしようとしたバカだ。裏切り者が標的なのは気分がいい、良心の呵責ってやつがない。
俺みたいな罪人狩人にとっては、絶好の獲物だ。
法をはみ出したり、組織の掟を破っておきながら、衛兵や刺客の手を逃れた奴ら。依頼に応じて、そいつらを追いかけて殺すのが罪人狩人だ。
つまりは殺し屋だ。
死体の懐を探ると、小瓶が出てきた。ビンゴだ。中には盗賊ギルドの金のありかを示す、小さな紙に描かれた地図が入っている。
「見つかったの?」
同僚のエーリカが音もなく部屋に入ってきた。下着みたいな服にマントを羽織った野伏だ。
「ああ、見つけた」
「貸して」
エーリカは俺から小瓶をひったくると、中から地図を取り出した。孤児院育ちめ。
「これって…」
「どうした?」
エーリカは俺に地図を見せた。地図に記された場所はドラゴンの巣だった。

【続く】

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