風の音を聴け 著 村上 春樹
初めて、村上春樹を読みました。新人賞を獲得した作品ですが、非常に興味深い話でした。
始まりは、「完璧な文章など存在しない。完璧な絶望がないようにね。」と本当に全く意味不明とも思われる書き出しであるが、この絶望とは何を表しているのだろうと考えた。
小説において、書き出しはかなり繊細に考えて書かれていると思うが、この書き出しにすべてがあるような気がした。
この絶望が、キルコゲールが唱えている絶望なのか、単純な絶望なのか。
私がこの小説から感じた絶望は、時だけはずっと待ってくれない。本当にその全くの真実だけは誰に対しても平等に訪れてくるというものだということを感じた。
全体を通して、日本かアメリカかはたまたドイツか分からないような情景の小説であったが、これが村上春樹なのだとはっきりとわかる非常に特徴的な書きぶりであった。
ゴリゴリの純文学である。答えはあなたの中にだけだ。
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