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28 永沢さん

ポッドキャスト番組「夜ふかしの読み明かし」を毎週楽しみにSpotifyで聞いている。
今回の読書会は『ノルウェイの森』が課題図書。

かなり盛り上がっており4回目に突入している。
パーソナリティ達と同じ時代を過ごした身として、村上春樹の冷笑的な見方が定着しつつあるタイミングで読んだ、思春期のため性描写に過剰に反応してしまい本筋をとらえ損ねていた、といった考察や感想に膝を打ち打ち聞いていた。

その中で永沢の言葉が紹介されていた。

「自分に同情するのは下劣な人間のやることだ」

『ノルウェイの森・下巻』

一言一句同じではないが、このニュアンスはずっと頭の隅というか芯の方にあって、「これってノルウェイの森出典やったっけ」と変に驚いた。
ちゃんと覚えてなくてもイメージが澱のように自然と残っているものだな。

油断すると自己憐憫モードになってしまう。
ほんとによくない。
告知とか、営業時間とか、店の内装とか、品ぞろえとか、文字通り全部自分の責任で、そんなの始めからわかってたことなのに、人が来ないとさみしい気持ちになる。

ただ、本の値付けや清掃、内装の調整など人目を気にせずもくもくとやれることはたくさんあって、実際かなり有意義な時間は過ごせている。
この状態が続くのは健全ではないけど今必要なことはやれているとは思う。
こっからっす。

永沢は上記のような良いことを言っているが、とにかく軽薄で、衒学的で見栄っ張りな人物として描かれている。
しかもどうやら周りを見下しながらも、そんな軽薄な自分をどこかで同情してる臭い。
だからこそワタナベへの見栄と自分への言い聞かせる意味でのこの発言なのかもしれない。

永沢、お前はお前で辛いんだよな。
好きにはなれないけど、その言葉は胸に刻んでやっていくよ。
おれは同情しそうな自分となんとか戦っていくよ。

もう少し落ち着いたら10年ぶりくらいに再読したいと思う。


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