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際限ない世の中をどう歩むのか〜コツコツdiary〜

「次の期末テスト、クラスで5位以内に入ったら買ってあげる」

両親とテーブルを囲んで食事をしている時に、母親が僕に笑みを浮かべながら言ってきた。父親はそれを見てニヤッと意地悪い顔をしている。これは僕が、お小遣いで買えないくらいのスニーカーが欲しいと言ったことがきっかけだ。まだ中学生だが、大学生の兄の影響で背伸びをした趣味を持っている。

とはいえこれは、大チャンスだ。実際僕は塾にも通わず、授業を受け、テスト前に少し勉強するだけではあるが、毎回クラスでは15位以内に入っている。真面目に勉強すれば5位は夢ではない。しかも、今中間テストが終わったところで、期末テストまでは時間がある。

「まじかよ」

と落ち込んだフリを両親には見せたが、これは大チャンスだ。今夜から期末テストへの戦いがスタートした。

翌朝、登下校を共にする友人に昨夜の話をした。
「え、楽しそうじゃん!俺も頑張る」
この友人は、明るい性格だが、趣味は読書で勉強も好きだ。色んなことを知ってはいるが、僕から見ると要領が悪い。毎回僕と似たような順位で気も合うが、今回ばかりは相手ではないと思っている。

クラスの問題としては、4人圧倒的な学力を持つ生徒がいる。それを見越してか、母親は5位以内という目標を提示してきたのだ。さすがだ。両親共に勉強が得意で、兄もいい大学に進学している我が家ならではの目標設定だ。

僕は、一心不乱に勉強した。このテスト範囲に全勢力を注ぎ込んだ。もしかしたら5位どころか1位になれるのでは?とも考えた。寝る前にはスニーカーの画像を眺めて
「待ってろよ」
と呟いて眠りについた。

そして迎えた当日。友人と話しながら登校した。
「勉強どう?」
と聞かれたので
「今回の俺は一味違う」
と答えた。そしたら友人が
「俺はいつも通りだけどさ、お前がそんなに言うから、少しテスト範囲多めに勉強したよ!いつも通り読書とかも続けたけどね!ま、気楽に行こう!」
いつも通りのテンションだ。でも今回ばかりは相手にならない。


「成績表を配るぞ〜」

教員の声が教室に響き渡った。聞き慣れた声だが、今回は何か人生を左右する特別なものに聞こえた。

テスト返しは終わっているのだが、頑なに点数を明かさないのがこのクラスの流儀のようなものであり、テスト返しは静かに行われ、順位などが書かれた成績表を受け取る時に盛り上がるのがルールとなっている。テストの手応えは良かった。点数も今までとはかなり変わった。いつものクラス成績の感じだと5位以内は確定だろう。

名前が呼ばれて成績表を取りに行った。
「よくがんばったな」
の教員の声が聞こえた。これはもう確定演出だ。自分の席まで持ち帰り、静かに成績表を見た。結果は…

7位

僕の脳裏からスニーカーが消えていった。
まぁ仕方ないか。でもよくがんばった。

「どうだった?」

登下校を共にする明るい友人に聞かれた。

「7位」

そう答えた。

「俺まだ見てないから一緒にみよう!」

俺が7位だからこいつは恐らく10位くらいだろうな…と思った。そして友人が机の上に置いた成績表に目を落とす。すると…

4位

「えっ?」

2人で顔を見合わせて、口を開けたまま3秒間程フリーズした。その時間はとても長く感じられた。

この物語はフィクションです。



少し長めの話になってしまいました。本日は日曜日ということもあり、休日にゆっくり読んでください。

昨夜は西尾篤紀さんとメンバーシップライブを行いました。これがかなりの盛り上がりを見せ、というか今までと毛色が違うものになり、新たな可能性を感じました。アーカイブでも楽しめる内容になっていますので、是非ご覧ください。

その中で話題となったこちらもお早めに!

メンバーシップ も人数が少しずつ増えてきました。野球だけではなく、様々なジャンルの方に聞いていただけるものになっております。実際、野球以外の方も聞いていただいており、嬉しい限りです。

今朝も面白いテーマを3人で語り合ったものが公開されました。ご興味のある方は是非聞いてみてください。

ということで今回は冒頭の物語が長めになってしまいましたが、意味を考えれば、大切な物語になったかと思います。今回も野球について考えていきましょう。

学び

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