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人類の冬眠と肉の代用品の話

本日のBGM Linda Ronstadt · Aaron Neville - Don't Know Much


今日も寒いわえと思って起きたら雪が積もっておりまして、そりゃあ寒いはずだわいと、こんな日に活動するのはエネルギー効率が悪いわえ ってことで また布団の中に潜り込んで非活動的な1日を送りたいものですが、

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スペインの洞窟遺跡から発見された30万年くらい前の初期人類の化石を調べたところ、その骨には冬眠する動物たちと同じダメージがあったそうで、毎年数ヶ月骨の成長が中断していたりして、その頃の冬の厳しさから考えても人類は冬眠していたかもしれないということが発表されたそうです。あくまで推測段階ですけど。

なので祖先を敬って 私も冬はなるべく寝て過ごすべきなのでは  と思うのですが なかなかそうもいきませんで、部屋の中で石油ストーブを焚いて作業したりしてますけど、それでもなかなか暖まらない。まあ手の込んだ ほったて小屋みたいな作りですからな。

外に干してある粘土たちは氷点下になると凍ってしまいまして、粘土が凍るとどうなるかというと豆腐を凍らせたようになりまして、つまりグスグスのボソボソでとても食えたもんじゃねーやって状態。

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ていうのも氷点下になると水が凍るわけですけど、常温では粘土中に均等に分布していた水分が、凍るときには仲間を引き寄せて大きな塊として氷になっちまうんですね。そして再び常温に戻って氷が溶けると、氷のあった場所から水が抜け落ちて、ぽっかりと空洞になっちまいます。

この過程を経ると粘土は内側に多数の空洞を持つスポンジみたいな状態になって、本来だったら保持されていた水分も排出されてしまうため、滑らかな舌触りからボソボソの豆腐へと変身するのです。

豆腐の場合は凍らせることで あえて食感を硬くして肉の代用、フェイクミートとして第2の生を歩むことになりますが、粘土の場合は土練機という文明の利器がありますので これを使えば とりあえず使える粘土に戻ってくれます。

あ、てことは冬眠とは違うけど、コールドスリープとかって、人間を冷凍して常温に戻したらスポンジ人間になっちまうってことかしら。いやん怖いわ〜。スポンジボブとして生きることになるのね。でも急速冷凍とかしたら野菜も食感そのままとか言うから、早く冷やせばいいのかしら。

実際にアメリカのアルコー延命財団とかでは冷凍されている人が結構いるそうですが、とりあえず凍らせたものの解凍するのが難しいらしくて、ていうか現時点では不可能だそうで、その辺については未来に丸投げという大変真摯な運営姿勢なのでございます。


話は粘土に戻って、問題はもう既に土練機にかけてある粘土たちで、こいつらが凍ってしまうともう一度土練機にかける羽目になるので作ってある粘土たちは凍らないように箱の上からいらんくなったカーテンとかの布をかけます。ちょっとでも断熱性を上げるためですね。

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庚申窯の工房の作りが半外なのでこういうのが必要なんですよね。全部室内だったらそんなに凍ったりしないんですけど。つまり冬に焼き物を作るような建物の作りをしていないってことですね。つまり冬に働くべきではないんですね→冒頭に戻る


そんな布を置いている場所には大体野良猫が潜んでいまして、場所の取り合いになるのだけれど、こいつらそんな喧嘩せんと一緒になって丸まっておけばもっと暖かいんじゃねえの、と思いますが、本人たちにしかわからない事情があるんでしょうね。人間もそういう所ありますものね。

なんてことを書いておけばそれっぽい寓意を仄めかしているようで 何か上質な感じが醸せるんじゃなかろうかと思ったのでした。寒いねー。

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高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目


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