秋の日落ち時

この里では、ある場所では稲を植え、ある場所では麦を植え、と混在させる習慣があるという。そのため、田畑には人の出入りが絶えず、また、鳥たちも餌を求めて絶えずやってくる。
しかし、11月は端境期になる。この里の川縁の田畑も、人影まばらになった。

まして、夕刻。
日が落ちる寸前に、犬の散歩にひとり通りかかっ多きり、誰も来ない。
川の流れの音と、仲間を確かめ合う鳥の地鳴きとが、時折あるだけ。

風も凪ぎ、はるか御在所のロープウェイの照明が点点と望めるだけ。
日が没してから1時間、夏の名残の星空が広がり始めた。

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