118C75
正解:40
解説
クレアチニンクリアランス(CCr)は、以下の式で求められる。
CCr(mL/分)= 尿中クレアチニン排泄量(mg/日)/ 血清クレアチニン値(mg/dL)× 1440
ここで、尿中クレアチニン排泄量は、24時間蓄尿のクレアチニン濃度と尿量から計算できる。
尿中クレアチニン排泄量(mg/日)= 蓄尿中クレアチニン濃度(mg/dL)× 蓄尿量(mL/日)/ 100
本症例では、
血清クレアチニン値: 1.0 mg/dL
24時間蓄尿の尿量: 1,200 mL
蓄尿中クレアチニン濃度: 48 mg/dL
これらの値を代入すると、
尿中クレアチニン排泄量 = 48 mg/dL × 1,200 mL / 100 = 576 mg/日
CCr = 576 mg/日 / 1.0 mg/dL × 1440 = 40 mL/分
したがって、体表面積補正なしのクレアチニンクリアランスは、40 mL/分である。
考察
クレアチニンクリアランスは、糸球体濾過量(GFR)の指標の一つである。クレアチニンは、主に筋肉で産生され、糸球体で濾過された後、尿中に排泄される物質である。したがって、クレアチニンクリアランスを測定することで、腎臓の濾過機能を評価することができる。
クレアチニンクリアランスの正常値は、年齢や性別によって異なるが、おおむね以下の通りである。
20~30歳代: 100~120 mL/分
40~50歳代: 80~100 mL/分
60~70歳代: 60~80 mL/分
加齢とともにクレアチニンクリアランスは低下するが、これは腎機能の生理的な低下を反映している。
本症例のクレアチニンクリアランスは40 mL/分であり、明らかな腎機能低下を示している。クレアチニンクリアランスが60 mL/分未満の場合は、慢性腎臓病(CKD)の可能性が高い。CKDでは、腎機能の低下に伴い、体液貯留、電解質異常、貧血、骨ミネラル代謝異常などの様々な合併症を引き起こす。
CKDの治療では、原疾患の治療とともに、合併症の予防と管理が重要である。具体的には、血圧管理、血糖管理、食事療法、貧血の治療、骨ミネラル代謝異常の治療などが行われる。また、腎機能の低下が進行した場合は、透析療法や腎移植が必要となる場合もある。
クレアチニンクリアランスは、腎機能の評価や経過観察に有用な指標である。ただし、クレアチニンクリアランスは、筋肉量の影響を受けるため、筋肉量の少ない高齢者や女性では、GFRを過大評価する可能性がある。そのため、近年では、血清シスタチンCを用いたGFR推算式なども用いられるようになっている。
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