見出し画像

血清クレアチニン値 1.0 mg/dL、24 時間蓄尿の尿量 1,200 mL、蓄尿中クレアチニン濃度 48 mg/dL。
体表面積補正なしでクレアチニンクリアランス(mL/分)を求めよ。
 ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数第 1 位を四捨五入すること。
解答: ① ② mL/分

第118回医師国家試験

正解:40

解説

クレアチニンクリアランス(CCr)は、以下の式で求められる。

CCr(mL/分)= 尿中クレアチニン排泄量(mg/日)/ 血清クレアチニン値(mg/dL)× 1440

ここで、尿中クレアチニン排泄量は、24時間蓄尿のクレアチニン濃度と尿量から計算できる。

尿中クレアチニン排泄量(mg/日)= 蓄尿中クレアチニン濃度(mg/dL)× 蓄尿量(mL/日)/ 100

本症例では、

  • 血清クレアチニン値: 1.0 mg/dL

  • 24時間蓄尿の尿量: 1,200 mL

  • 蓄尿中クレアチニン濃度: 48 mg/dL

これらの値を代入すると、

尿中クレアチニン排泄量 = 48 mg/dL × 1,200 mL / 100 = 576 mg/日

CCr = 576 mg/日 / 1.0 mg/dL × 1440 = 40 mL/分

したがって、体表面積補正なしのクレアチニンクリアランスは、40 mL/分である。

考察

クレアチニンクリアランスは、糸球体濾過量(GFR)の指標の一つである。クレアチニンは、主に筋肉で産生され、糸球体で濾過された後、尿中に排泄される物質である。したがって、クレアチニンクリアランスを測定することで、腎臓の濾過機能を評価することができる。

クレアチニンクリアランスの正常値は、年齢や性別によって異なるが、おおむね以下の通りである。

  • 20~30歳代: 100~120 mL/分

  • 40~50歳代: 80~100 mL/分

  • 60~70歳代: 60~80 mL/分

加齢とともにクレアチニンクリアランスは低下するが、これは腎機能の生理的な低下を反映している。

本症例のクレアチニンクリアランスは40 mL/分であり、明らかな腎機能低下を示している。クレアチニンクリアランスが60 mL/分未満の場合は、慢性腎臓病(CKD)の可能性が高い。CKDでは、腎機能の低下に伴い、体液貯留、電解質異常、貧血、骨ミネラル代謝異常などの様々な合併症を引き起こす。

CKDの治療では、原疾患の治療とともに、合併症の予防と管理が重要である。具体的には、血圧管理、血糖管理、食事療法、貧血の治療、骨ミネラル代謝異常の治療などが行われる。また、腎機能の低下が進行した場合は、透析療法や腎移植が必要となる場合もある。

クレアチニンクリアランスは、腎機能の評価や経過観察に有用な指標である。ただし、クレアチニンクリアランスは、筋肉量の影響を受けるため、筋肉量の少ない高齢者や女性では、GFRを過大評価する可能性がある。そのため、近年では、血清シスタチンCを用いたGFR推算式なども用いられるようになっている。

=============================
【質問や感想、ご相談の募集について】
このブログを読んで感じたこと、質問したいこと、相談したいことなど、どんなことでも歓迎します。
特に期限は設けていませんので、過去の記事に関するものでも大丈夫です。
他の読者の方にも参考になりそうな内容を優先的に取り上げさせていただきますが、できるだけたくさんの方のお声にお応えできるよう努めます。
ご相談いただいた内容は、プライバシーに十分配慮した上で、このブログ等で紹介させていただくことがあります。
なお、ご自身の体調に関する事や医療相談はご遠慮ください。
体調に不安のある方は、医療機関の受診をおすすめします。

ご相談・ご質問はこちらのアドレスまでお寄せください。
dr.kousei.taro@gmail.com

みなさまからのメッセージをお待ちしております!

作者:厚生太郎
Twitter : https://twitter.com/kosei_taro
質問受付: dr.kousei.taro@gmail.com

=============================
【免責事項】
本ブログの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、著者及び関係者本ブログは医療行為の勧誘や医療助言を目的としたものではありません。
本ブログの情報を利用して行った医療行為等により損失が生じても、著者及び関係者は一切の責任を負いません。=============================

#医師
#医学部
#国試
#医師国家試験
#医師国家試験対策
#医師国家試験解説
#第118回医師国家試験