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生後 1 時間の男児。在胎 37 週、4,000 g で出生した。巨大児のために血糖の測定をおこなった。血液生化学所見:血糖 25 mg/dL。10%ブドウ糖液を用いて末梢静脈より輸液を開始することとした。糖の投与速度を 4 mg/kg/分とする。
1 時間あたりの 10%ブドウ糖液投与量を求めよ。
 ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数第 2 位を四捨五入すること。
解答: ① . ② mL/時間

第118回医師国家試験

正解:9.6

解説

以下の手順で、1時間あたりの10%ブドウ糖液投与量を計算します。

  1. 体重4,000gを4kgに換算する。

  2. 目標の糖投与速度が4mg/kg/分なので、1分間あたりの必要な糖量を計算する。
    4mg/kg/分 × 4kg = 16mg/分

  3. 10%ブドウ糖液1mLには100mgのブドウ糖が含まれるので、1分間に必要な10%ブドウ糖液の量を計算する。
    16mg/分 ÷ 100mg/mL = 0.16mL/分

  4. 1時間あたりの投与量を求めるために、0.16mL/分に60分を乗じる。
    0.16mL/分 × 60分 = 9.6mL/時間

以上より、1時間あたりの10%ブドウ糖液投与量は9.6mL/時間となります。

解答: 9.6 mL/時間

考察

本症例は、在胎37週、出生体重4,000gの巨大児で、低血糖を認めた新生児です。新生児の低血糖は、脳障害などの重篤な合併症につながる可能性があるため、速やかな対応が求められます。

巨大児は、母体の糖尿病や妊娠糖尿病、遺伝的素因などが原因で発症します。巨大児では、出生後にインスリン分泌が過剰となり、低血糖を来しやすいことが知られています。本症例でも、血糖値が25mg/dLと低値であり、適切な糖補充が必要な状況といえます。

新生児の低血糖に対する糖補充では、末梢静脈から10%ブドウ糖液を用いた点滴が一般的です。投与速度は、通常4~8mg/kg/分で開始し、血糖値をモニタリングしながら調整します。本症例では4mg/kg/分で開始することとなりましたが、この投与速度は妥当な設定といえます。

低血糖の補正には、適切な糖濃度と投与速度の設定が重要です。濃度が高すぎたり、速度が速すぎたりすると、高浸透圧利尿による脱水や電解質異常、高血糖などを来す可能性があります。一方、濃度が低すぎたり、速度が遅すぎたりすると、低血糖の改善が不十分となります。本症例のように、体重あたりの投与速度を適切に計算し、必要な糖量を投与することが重要です。

また、低血糖の補正には、血糖値の頻回のモニタリングが不可欠です。投与開始後は30分~1時間ごとに血糖値を測定し、目標値(通常50~80mg/dL)に達するまで投与を継続します。目標値に達した後も、数時間ごとの測定を続け、低血糖の再発がないことを確認する必要があります。

以上、新生児の低血糖に対する糖補充について、本症例を通して考察しました。新生児期は低血糖をきたしやすい時期であり、巨大児などのハイリスク児では特に注意が必要です。適切な濃度と投与速度の設定、頻回のモニタリングを行いながら、迅速かつ的確な対応を心がけることが重要です。

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