118E10
正解:e
解説
ノーベル生理学・医学賞は、生理学や医学の分野で顕著な業績を挙げた研究者に贈られる賞です。日本人研究者も多くの業績を挙げており、これまでに多くの受賞者を輩出しています。
a. 大隅良典:オートファジーの仕組みの解明によって、2016年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。免疫チェックポイント阻害因子の発見は、本庶佑と共同受賞者のジェームズ・アリソンの業績です。
b. 大村智:イベルメクチンの発見と開発によって、2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。抗体の多様性に関する遺伝的原理の発見は、利根川進の業績です。
c. 利根川進:抗体の多様性を生み出す遺伝子の組換え機構を発見し、1987年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。寄生虫感染症の治療法の発見は、大村智の業績です。
d. 本庶佑:がん治療に対する免疫チェックポイント阻害因子の発見によって、2018年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。オートファジーの解明は、大隅良典の業績です。
e. 山中伸弥:iPS細胞(人工多能性幹細胞)の作製によって、2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。
以上より、ノーベル生理学・医学賞を受賞した日本人研究者と研究内容の組合せで正しいのは、山中伸弥 ―――― 多能性幹細胞〈iPS 細胞〉の作製(選択肢e)です。
考察
日本人研究者のノーベル生理学・医学賞受賞は、日本の生命科学研究の高い水準を示すものであり、世界的にも高く評価されています。
山中伸弥教授のiPS細胞の作製は、再生医療や病態解明の分野に大きな進歩をもたらしました。iPS細胞は、体細胞から作製された多能性幹細胞であり、様々な細胞に分化する能力を持っています。この技術により、患者自身の細胞を用いた再生医療や、疾患特異的なiPS細胞を用いた病態解明や創薬研究が可能となりました。
本庶佑教授の免疫チェックポイント阻害因子の発見は、がん免疫療法の発展に大きく寄与しました。免疫チェックポイント阻害剤は、がん細胞による免疫抑制を解除し、体内の免疫細胞ががん細胞を攻撃できるようにする薬剤です。この発見により、様々ながん種に対する新たな治療法の開発が進んでいます。
大隅良典教授のオートファジーの解明は、細胞内の分解・リサイクル機構の理解を深めました。オートファジーは、細胞内の不要な物質や傷害を受けたタンパク質を分解する機構であり、細胞の恒常性維持に重要な役割を果たしています。この機構の破綻は、がんや神経変性疾患など様々な疾患と関連することが明らかになっています。
これらの研究は、基礎医学の進歩が臨床医学の発展につながることを示す好例です。基礎研究から得られた知見を臨床応用へと橋渡しすることが、新たな診断法や治療法の開発につながります。
日本の生命科学研究は、今後もさらなる発展が期待されます。基礎研究と臨床研究の連携を強化し、トランスレーショナルリサーチを推進することが、患者の福音につながると考えられます。
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