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放射線の身体的影響で晩期反応〈障害〉はどれか。
a. 脱 毛
b. 白内障
c. 運動失調
d. けいれん
e. 皮膚紅斑

第118回医師国家試験

正解:b

解説

放射線の身体的影響は、急性反応と晩期反応(障害)に大別される。晩期反応は、放射線曝露後数ヶ月から数年を経て発症する影響であり、選択肢の中では白内障がこれに該当する。
a. 脱毛:急性反応の一つであり、放射線曝露後数日から数週間で発症する。
b. 白内障:水晶体は放射線感受性が高い組織であり、晩期障害として白内障を生じることがある。閾値は約0.5Gyとされる。
c. 運動失調:中枢神経系の放射線障害としては知られているが、一般的には高線量の全脳照射後に生じる急性期の症状である。
d. けいれん:中枢神経系の放射線障害としては知られているが、一般的には高線量の全脳照射後に生じる急性期の症状である。
e. 皮膚紅斑:急性反応の一つであり、放射線曝露後数時間から数日で発症する。

考察

放射線の身体的影響は、確定的影響と確率的影響に分類される。確定的影響は、一定の閾値を超えた放射線曝露により発症し、脱毛、皮膚紅斑、不妊などがある。一方、確率的影響は、放射線曝露量に応じて発症確率が増加し、がんや遺伝的影響などがある。
放射線の晩期障害は、組織の線維化、血管障害、二次がんなどを含む。特に、小児や若年者では、成長・発達への影響や、晩期障害の発症リスクが高いことが知られている。また、放射線感受性の高い組織(水晶体、甲状腺、乳腺、生殖腺など)では、低線量の曝露でも影響が生じる可能性がある。
放射線診療に携わる医療者は、放射線の身体的影響について十分に理解し、適切な防護措置を講じることが重要である。診断や治療上の正当化と最適化を図り、患者の放射線曝露を合理的に達成可能な限り低く抑えることが求められる。特に、小児や妊婦では、放射線検査の適応判断を慎重に行う必要がある。
また、放射線業務従事者に対しても、適切な被曝管理と健康管理が不可欠である。線量限度を遵守し、被曝量を可能な限り低減するよう努めるとともに、定期的な健康診断により、放射線影響の早期発見に努めることが重要である。
放射線の影響は、近年の研究により次第に明らかになってきているが、まだ不明な点も多い。低線量長期被曝の影響や、放射線とその他の要因との複合影響など、さらなる研究の蓄積が必要である。医療者は、最新の知見を学び、適切に活用していくことが求められる。

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