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眼窩吹き抜け骨折で起こりにくいのはどれか。
a. 複 視
b. 鼻出血
c. 嗅覚障害
d. 眼球上転障害
e. 頰部知覚障害

第118回医師国家試験

正解:c

解説

眼窩吹き抜け骨折は、眼窩内容物が骨折部から上顎洞内に脱出する骨折である。主に眼窩下壁や内側壁の骨折で生じる。外力が眼球を介して眼窩に伝わることで発生する。眼窩吹き抜け骨折で起こりにくい症状は、嗅覚障害である。
a. 複視:眼窩内容物(外眼筋や眼窩脂肪など)の陥頓により、眼球運動障害と複視を生じる。
b. 鼻出血:骨折部からの出血が鼻腔内に流れ込むことで、鼻出血を生じる。
c. 嗅覚障害:眼窩吹き抜け骨折では、嗅覚に関与する構造(嗅裂部、篩板など)の損傷は少ない。したがって、嗅覚障害は起こりにくい。
d. 眼球上転障害:下直筋の陥頓により、眼球の上転障害を生じる。
e. 頰部知覚障害:眼窩下神経の損傷により、頰部の知覚障害を生じる。
以上より、眼窩吹き抜け骨折で起こりにくいのは、嗅覚障害である。

考察

眼窩吹き抜け骨折は、眼窩壁の脆弱部位である下壁と内側壁に好発する。受傷機転としては、殴打、スポーツ外傷、交通外傷などがある。典型的な症状は、眼瞼腫脹、眼球陥凹、複視、眼球運動障害などである。
診断には、単純X線撮影、CT検査、MRI検査などの画像検査が有用である。特に、CT検査は骨折部位や眼窩内容物の脱出状況の評価に優れている。
治療は、保存的治療と手術治療に大別される。保存的治療では、抗菌薬、ステロイド、鼻処置などを行う。手術治療では、骨折部位を整復し、脱出した眼窩内容物を復位させる。手術のアプローチには、経眼窩法、経上顎洞法、内視鏡下経鼻法などがある。
手術適応は、複視の程度、眼球陥凹の程度、受傷後の時間経過などを考慮して決定する。一般に、持続する複視や2mm以上の眼球陥凹がある場合、受傷後2週間以内であれば手術を考慮する。ただし、小児や高齢者では適応が異なる場合がある。
眼窩吹き抜け骨折の合併症としては、永続的な複視、眼球運動障害、眼球陥凹、眼窩底の知覚異常などがある。早期の適切な治療介入により、合併症のリスクを軽減することができる。
眼窩吹き抜け骨折の診療には、眼科、形成外科、耳鼻咽喉科、放射線科など多職種の連携が不可欠である。病態の正確な評価と、患者の状態を考慮した適切な治療方針の立案が求められる。また、受傷予防のための教育や啓発活動も重要である。

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